接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

私がブログを始めたきっかけは、接客業がつらい人に気持ちを整理してもらいたいから

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今週のお題「私がブログを始めたきっかけ」



こんにちは! 仕事は携帯ショップの接客、趣味はランニングと読書の貫洞です。

ブログを始めたきっかけ。シンプルですよ。
会社の宣伝のためでした。当時はね。


でも、書いているうちに変わってきました。個人として、接客業をしている人に読んでほしいと思うようになりました。特に、接客業でつらい思いをして、毎日がしんどい人。そう思うようになった今は、会社の名前で取ったドメインが恨めしいです。個人かつ匿名でやっとけば良かったと思ってます。


接客で疲れた心のせいで本当に優しくしたい人に優しくできなくて、それがさらに自分を苦しめてしまっている人。そういう人の心に届けたい。

接客ノウハウやクレーム対応の本はたくさんあるのに、今現在接客業でつらくても頑張っている人を本当に救ってくれる本って実は無い。



日本の接客業って、本当に「ちょっとおかしいんじゃないか?」っていうくらいお客様至上主義です。そしてクレーム対応は基本外注。


わたしの知人で、時給1500円くらいのバイトを始めた、という人がいました。仕事の内容は、某大手飲食店のクレーム処理だということです。驚くべきはそのシステムです。

・仕事はチーム制、毎日1時間だけクレームを受ける電話室に座る
・1時間きっかりで次のチームに交代
・クレーム電話を受けた後は少し休憩を挟んでパソコン部屋に移動
・パソコン部屋ではクレームや問い合わせのメールに対し、メール返信を行う
・一日6~7時間労働で、電話のクレームを受ける時間は絶対に「1時間」


この企業は誰でも名前を知っている超大手企業です。でも、クレーム対応は派遣会社に完全外注。派遣会社は離職率を下げるため、丸一日クレームの電話を受けさせるようなことはせず、一日に1時間だけ電話を取ってもらい、あとはメールだけの仕事に従事してもらう。



これ、つまり電話で直接クレームを聞くのは1時間が限度、それを超えると離職率が上がるっていうことです。

そのくらいクレームを聞くのは嫌なことなのです。わたしも電話でクレーム、店頭でクレームとダブルでクレームが続いたときは、本気でもう帰りの電車に飛び込もうと思うくらい落ち込みました。人格否定系クレームは速攻で警察呼びたいです。それ、傷害罪ですよって思います。

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結構前の話なのですが。
ある日、いつものように携帯ショップで接客をしていました。

携帯の調子が悪くて困っている、もう4年使っているし、総額が変わらないなら機種変更してもいいから、とにかくすぐに使えるようにしてほしいという相談でした。待ち時間も少しありそうだったので、修理の場合にかかる費用の大体の見積と、機種変更をした場合の費用の見積をしました。「安い機種があるなら機種を変えてもいい」とご返答を頂いたので、機種変更の方向で接客していました。


目の前のお客様ではなくて別のお客さんから突然肩をはたかれました。

「ちょっと! さっきから聞いてたら何押し売りしてんのよ! 相手が高齢者だからっていくらでも売りつけてやれって思ってんでしょ? そういう態度、気に入らないのよ! 携帯の調子が悪いってお客さんが言ってるんだったら、まずご不便をおかけしてごめんなさいって謝んなさいよ! ほら! 今!」

実話です。


このときの対応は、わたしは黙っていました。接客していたお客様の知人なのかどうかを見極めたかったので、もう少し話してもらいたいと思ったのです。

幸いこのときは、接客中であったわたしのお客様が

「あの…すぐ使いたいから機種変更してほしいってわたしから言ったのよ。どなたか存じませんけど、ご心配頂いてありがとうございます。でも私、自分でちゃんと判断していますから」

このように言ってくださいました。お客様の知人ではないことが明らかになったので、こちらの取るべき態度もある程度定まってきました。知らない人同士であれば、知らない人のことを「高齢者」呼ばわりするのは失礼です。


「当店では押し売りのようなことはいたしません。お客様のご要望にあった方法で、携帯を修理に出したり、機種を取り替えたりする方法を提示させていただいて、お客様に選んで頂くようにこころがけております。
お客様は何かお困りのことがあってご来店頂いたのですよね? お待たせしてすみません。のちほどお伺いいたしますね」

これで終わればよかったのですが…

この後…

「携帯ショップは対応が悪い!」
「携帯ショップは詐欺ばかりしている!」
「何分待たせるんだ! 謝れ! 今!」
「申し訳ないとなんか思ってないんだろ? 金儲けばかりの悪徳め!」
「えらそうにスーツなんて着やがって!」
「いい年して客一人満足させられない低脳!」


このようなことを立て続けに言われて、思いました。


接客業、つらい仕事だな


接客中だったお客様からは「あなた大変ね」「ごめんなさいね」などと言ってもらえた(多分)のですが、それでは追いつかないくらい心が壊れてしまいました。うまく対応できたと思っていたのに、心がいやなことを言われすぎて水漏れしすぎてうまく機能しなくなっちゃった。

この日も翌日も、何ものどを通りませんでした。体重は2キロくらい減りました。やっと食事がのどを通ったと思ったらすぐに戻してしまいました。クライアント様からの電話にも出られません。家族と話すのもつらく、しばらく出て行ってくれと頼み、人間関係に亀裂が入りました。

この日の夜や翌日に入っていた「人と会う約束」はすべてドタキャン。このあたりでしょうか。プライベートの予定を全く入れなくなったのは。



このような体験を何度も重ね、やっとわたしは「相手にしてもしょうがない人に対しては感情のスイッチを切る」という方法を覚え、目を見ているようで見ていない、聞いているようで聞いていない、でも相手は言いたいことを言って店を去るように仕向ける方法を見つけたので、今はそこまでダメージを受けずにすむようになりましたが、本気で接客業なんて世の中からなくなってしまえばいいと思う日々がありました。


じゃあなんで今も接客業をしているのか?


人が嫌がる仕事の中にこそチャンスがあり、そのチャンスのしっぽを今つかめていると思っているからです。接客は「人がスキ」だから「話すのがスキ」だからやる仕事ではありません。戦略立ててデータを取り、目の前のお客様にとって最適な接客を選び取りながら組み立てていく知的な作業です。

売れたときのよろこび、自分が人間の消費活動、しかも一日のうち一番多く一緒に過ごす携帯電話という商品を売ることのやりがいは、なかなかのものです。

仕事として取り組むのにちょうどいいハードさもあり、乗り越えるべき壁もある。けしてイージーではありませんが、達成感があります。一日があっという間に感じるのも接客業の特徴かも知れません。



翻って、わたしがブログを書いているのは、接客業がつらい人に、気持ちを整理してもらいたいからです。


接客業の人にとって有用なことを発信できるように日々、精進していきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いします。