こんにちは。仕事は接客業、趣味はランニングと読書の貫洞です。
相変わらず本は読んでいるのですが、ちょっと貪欲になりすぎて、一気に読みすぎちゃった感のある今日この頃です。もっとちゃんと味わいたい。そんなふうに思いました。何事も急いじゃダメですね。
さて、最近読んだ短篇集の中で、心にずっと引っかかってとれないトゲみたいな作品があったので、ご紹介します。わたしは今まで未読だったのですが、多分有名な作家さんですよね。
新津きよみ著 「フルコースな女たち」
この短篇集は、フルコースのように始まって一編ずつ、進んでいきます。最初は食前酒(アペリティフ)、前菜(オードブル)……という感じに。
一篇目からホラー感とスリルとストーリーの面白さがぐいぐい引っ張っていきます。
「退屈する行が、ない!」
一篇目を読んだわたしの感想です。
そして、一気に読めちゃうこの本の中で、わたしのこころに楔を打ったのは、デザート篇「スイーツ・バイキング」という短篇です。
「甘いもので、何が食べたいですか?」
そんなアンケートが回ってきて、武部良男は首をひねった。
こんな始まりです。
ここから武部良男という男は、退屈だし、どれ、甘いものにはどんなものがあるのかな? と様々な種類の甘い食べ物について思いを馳せるのです。和風、イタリア、流行り物……ただそれだけの、この短篇集の中では単調な展開。「おじさんがスイーツについて珍しく考えてみたよ」的な穏やかな作品。
しかしラストわずか3ページにも満たない超スピードでの大どんでん返し。
単調な作品がぐるんと世界をひっくり返して物語は終わり、読者の心には武部良男の姿がくっきりと焼きついて離れない。わたしはこの物語を読んだのが六月七日なのですが、未だにこの短篇思い出すとブルっと来ます。
こちらです。
電車の中でちょいちょい読むもよし、一気読みするもよしの短篇集です。
小説ってすげえなぁ…
言葉は悪いですが、空を見上げてそんなふうに思った作品でした。もう、映画よりそのシーンが焼き付いちゃってるの。ああ怖い。こういうのを、後味悪いと表現する人もいるかも知れませんが、わたしは好きです。心に爪跡が残る感じで。
ちょっとホラー要素がありますが、グロ表現は少ないのでほとんどの方は大丈夫かと思います。
久しぶりに、おすすめの小説の紹介でした!
では、また。
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