接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

お客様の「ありがとう」で誰もが元気になるわけじゃない

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こんにちは、かんどーです。
 

今日は接客業ネタです。
 
 
わたしの接客業歴は延べ12年になります。最初はコンビニのアルバイトからスタートし、やがて営業職を経て家電量販店の接客、そして今が携帯ショップでの接客です。

今は自分の会社で仕事を受注し、そのうちのいくつかの現場に自分も入る、という形式で仕事を進めているため、仕事の全貌が見えた状態で働いています。ですので、やりがいは充分。少しのことでは折れない自信があります。

しかし、まだ起業もしておらず、工場の仕事をやめてたまたま就いた接客の仕事で(何の業種かは伏せます)、わたしは全然うまく接客ができませんでした。モチベーションも低いし、接客に生きる話術や技術を持っていなかったのです。

しかしそのお店は、上司が非常に優しく人を育てる現場でした。接客のうまくないわたしにも丁寧な指導をしてくれました。ほとんどのアルバイトが「この上司と一緒だから頑張れる」ということを言っていました。わたしもその上司が嫌いではありませんでした。感じの良い人だと思って働いていました。


あるとき、やはりお客さんとの会話がかみ合わず、怒鳴られてしまったことがありました。当時のわたしは怒鳴られるのがとても嫌で、下を向いて目線を合わせないようにして頭を下げた風の姿勢をとって嵐が過ぎるのを待っていました。お客さんは怒鳴るのに飽きたのか、帰っていきました。

その次のお客さんを接客したら、その人は普通に帰ってくれました。

わたし「ありがとうございましたーまたお越しくださいませー」
お客さん「うん、ありがとうね」

そのときです。上司がわたしのもとへ飛んできました。

上司「かんどーさん! 今のでさっき怒鳴られたことなんて忘れちゃうでしょ? もう、ぜーんぶ吹き飛んじゃったでしょ? 良かったねぇ!」

わたしは意味がわかりませんでした。さっき怒鳴られたショックはまだ胸の中でどんより残っており、吹き飛ぶなんてことはありません。今夜過食してアルコールを大量摂取することもほぼ確定です。焼酎500ml分くらいは増量確定って感じです。(当時アル中)それが、良かったってどういうことなのでしょう?


「あの……ちょっとよく意味がわからないのですが、何か良かったのですか?」

「まーたまた! 今のお客さん、かんどーさんの接客に、ありがとうって言ってくれたんだよ! もうそれで心の中がパァアアアって晴れるでしょ! さっきの忘れるくらい気分いいでしょ!」



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んなわけあるかボケ!


当時のわたしは上の写真のような顔で上司をにらみつけ、

「どういう理論でそうなるんですか? 怒鳴ったお客さんと今のお客さんは別の人です。別の人にありがとうと言われてどうして心が晴れるのですか? たとえば一回ありがとうと言われてもインセンティブが出るわけでもないし、チップももらえないですよね? すみません、一体何の話をしてるんですか?」

上司「ええっ? 接客のよろこびって、お客様からのありがとうでしょ? ねえみんな!」

みんな「ハイ! ありがとうって言ってもらえた瞬間、ほんとにやっててよかったーって思います!」



わたしはこの後記憶が途絶えていますが、多分そのまま混乱して帰宅したのだと思われます。以降出勤していないですが、最後の給料は振り込まれていました。本当に良心的な職場だったのだと思います。

当時のわたしは「こいつら給料いらねーのか? もしかしてわたし以外全員ボランティアだったのか?」と疑問をぶつぶつ言いながら帰路についていました。完全に混乱しきっていました。




上記のエピソードを、今のわたしが整理してみます。

上司の言い分としては、お客様Aにネガティブな感情を向けられた後に、お客様Bにポジティブな感情を向けられた、これによって自分の接客がお客様Bに肯定されたことになるから、Aからのネガティブな感情に上書きでき、自分の接客に対する自信も回復できる。結果心が晴れる……という論理です。

そして、前提として接客業の面白さ、喜びはお客様からの感謝を得ること。報酬に反映されるされない関係なく、人としてうれしい気持ちになるものだ……と。それこそが接客業の醍醐味であり、それをまっすぐに喜べる人が「接客向きの人」だから、みんなそれを目指そう! という意味も含まれていると予想されます。



わたしはこれ、今でも理解できません。わたしは「ありがとう」と言われた場合は、どこが顧客の喜ぶポイントだったのかを書き留め、同じタイプの顧客を接客するときに同じ対応をするように自分のデータベースの中に書き込みます。そして、自分がマネジメント側であれば、このような顧客にはこのように対応すると喜びを感じてもらえ、販売機会がさらに増える、と伝えます。

わたしにとって接客とは、商品のプロモーションであり、販売です。モノを売らない接客であっても、その空間を心地いいと思って再来店してもらうためのプロモーションと考えます。すべては、仕事としてすることなのです。個人としてのわたしはそこにはいないのです。


こういう考え方の人は、実は一定数存在すると思っています。これに近いことを何度か書いていますが、なかなか理解されないので何度も書いている次第です。

こういう考え方の人は、クレーム対応をしていても、相手との応酬をすべて記憶して、次回からの対応に生かすので、非常に合理的なんです。個人としての感情を消して接客をすることは、けして悪いことではないんです。




ただ、「ありがとう」を喜びに昇華させられるスタッフさんの仕事ぶりは、見ていて気持ちがいいし、素敵だなと思います。そういうスタッフさんと一緒に仕事をしていると楽しくなります。性格は違っても、仕事に対して一生懸命なのがおなじなら、一緒に仕事をしていて気持ちいいんです。


そして。

慣れない現場で、お客様から「ありがとう」と言われたら、それを喜んでいるお芝居をします。わたしの感情は嬉しくなくても、「ありがとう」を喜べる人の演技をした方が、早く現場になじめるからです。一回こっきりの出張現場などでは、変わり者だと思われてしまうより、「接客業が好きな人」と思ってもらった方が良いので、そういうモードで仕事をします。


…こう書くと、わたしって変な奴ですよね。でも、頭の回転も必要だし商品知識を覚えるのも好き、羅列されたスペック表からターゲット層を自分なりに割り出しておすすめするのも面白いです。人間観察が好きな人なら、接客業は一線引いて楽しめる仕事だと思います。

「ありがとう」で元気出なくても、向いている人は居るんですよ(笑)そういう技術者も、現場には必要なのです。

件のアルバイト先の上司がもし、それもわかってくれていたら、わたしはずーっとあのお店でアルバイトしていても良かった。この考え、感覚を理解してくれた上司は、残念ながら今まで会ったことがない。だからわたしは起業したのかもしれない。




最後に本音書くと、件の職場の元気感というか、接客楽しんでます感、正直ウザかったです。もっと普通にやっていいのにと思ってました。


今は自分のペースで冗談言ったり普通に接しているから正直、楽です。柔軟にいきまっしょい。



それじゃあ、明日もきっとマイナーチェンジ☆




☆ブコメにこたえるコーナー☆
id:Xenosさま
運動は、現場のない日に週2回ほど、1時間程度のジョギングをしています。あとは、アポイントのある日は意識して2~3駅手前で降りて歩いて行ったり、近場のアポ回りの日は歩いて移動します。(例:市ヶ谷から御茶ノ水くらいなら歩いちゃいます)

また、ブログにはあまり書いていないのですが、エアロビクスが趣味でして…近所のスポーツセンターで50分のクラスに月数回参加しています。市営のスポーツセンターなので、一回300円、みたいに会費ではなく使えるんです! 筋トレのマシンも使い放題、エアロビクスまでうけられて300円という破格です!

ご質問ありがとうございました!


☆今日の過去記事☆