接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

【フィクション小説】グランドヒルズ目覚めたらスラム

スポンサードリンク

 



※フィクション小説です。ちょっと長いです。後半に少々性描写あり。15禁くらいです。



グランドヒルズ
目覚めたらスラム

 

 京子は郊外の大型マンションで暮らしていた。駅から距離があって閑静な場所だ。15階建て、200世帯が暮らすそのマンションは「グランドヒルズ」という大層な名前がついていた。グランドヒルズは大きくコの字型になっており、最上階角部屋にゆったりと一人で住む京子が廊下を歩きながら階下を見下ろすと、たくさんのドアが見えた。グランドヒルズは、コの字の内側にドアがつき、外側がベランダというつくりだった。ベランダからは周囲の景色と遠くにスカイツリーが望め、見晴らしがよかった。

 京子は30歳を過ぎたころからここへ一人で住んでいる。出張の多い仕事なので都心への距離はあまり問題ではなかった。それより、心底くつろげる自分の城がほしかった。髪は整えてはいるが常に手入れのしやすいショートヘア、色白の肌には適度なめりはりのあるメイクを施し、35歳を過ぎた今でも角度によっては少女のあどけなさが残る。ヒールを履いても160センチいかない小柄な体つきのため、余計若く見られるのだった。

 京子は仕事への行き帰り、また、体を鍛えるために通っているスポーツクラブへの行き帰り時、コの字の内側に連なるそれぞれの玄関ドアを眺めていた。ひとつひとつの部屋に物語があることを知っていたからだ。小さな子どもを連れた母親の自分とは違う幸せの形、仕事を終えて家族の待つ部屋へと急ぐ父親の姿をチラチラと眺めるのだった。絵に描いたような「幸せ」を内包する建物だ……と京子は思った。そこへ一人で住まう自尊心が京子の心を心地よくくすぐる。

 京子はグランドヒルズが好きだった。自分が枠をはみ出さなければ、誰も自分を傷つけない場所だから。悪いことがしたい気分のときは、誰も知らない場所でした。悪いことといっても、たくさんお酒をのんだり、ゆきずりの男とセックスをする程度のことだったけれど。京子はそうやって折り合いをつけている自分が好きだった。「そこそこきれいな丘の上のマンションに住む」という人生の目標があっけなく達成され、これからの人生をどう盛り上げようかと鼻歌まじりに考える時間が好きだった。

「セックスくらい、いいじゃなーい」

 京子は酔っ払うと奔放になる女だった。社会のルールや規範は守るくせに、ベッドではきわどい遊びが好きで、それをしている時間、京子の体は命の輝きをあらわすように跳ねあがり、体のすみずみまで神経がゆきわたるのだった。

 その日京子は、スポーツクラブから帰宅し、ひとり暮らしには広すぎる部屋の鍵をあけ、書斎とリビングを換気してすぐにベッドに入った。適度にやわらかいベッドと清潔な枕に全身をうずめ、今日とおなじ明日が来る安心感に包まれて眠りに落ちた。




「……くさい……」

 目覚めた京子を待っていたのは、全体的に薄暗い、灰色のコンクリート。むき出しのコンクリートはなぜ、これほどにつめたいのだろう。敷いていたはずのカーペットは消え、木製のあたたかいセミダブルベッドのフレームは、さびた鉄のせまいパイプベッドへと変わっていた。部屋が汚れているというレベルではない。京子は五感で異常を感じた。

「なんなの……これ、どうなってるの……」

 震える声をふりしぼって状況を確認する。身にまとっているボロの服はつぎはぎだらけで、寝間着なのかこれが外出着なのか判別できない。誰か、住人の姿を見たい。みんなはどうなっているのか、同じ状況なら助け合えるかもしれない。ここの住人なら……

 まるで刑務所だ。キッチンはもはや水場としか呼べないありさまで、蛇口は錆びつき、鉄のにおいが鼻をついた。冷蔵庫は電気が切れているようで、生ごみ臭くて無音であった。洗濯カゴには自分の服が入っているはずなのに、それもなくボロ布がただ幾重にも折り重なっていた。いつも希望に満ちた思いで部屋に入ってくる玄関ドアだが、今は外に救いを求める思いだ。もうこんな部屋にいたくない。

 ガチャリと音をたてて思い鉄製のドアを開けると、コの字型のグランドヒルズの形は変わらずそこにあった。しかし、秩序もなにもない恐ろしい風景が目の前に広がっていた。

 かつて古い洋画でみたスラムと刑務所を足したような風景だった。煤で汚れた顔の大人と子供が、鉄格子のはめられたコの字型の内側で、鉄格子を掴むようにして各自ガチャガチャと音を鳴らし、その音の響きが空に消えるまえに、別の大人や子供がガチャガチャ鳴らしたり奇声をあげたりする。よく見るとセックスをしている人たちさえいる。鉄格子にもたれかかるようにして女が咆哮をあげている。それは、女のものとは思えないくらい深刻な咆哮だった。女がセックスの中に救いを見出しているとき、男は身勝手なセックスで射精しようとしていた。

 人は状況に順応しようとする性質の生き物だ。通常時なら洗っていない性器と性器をこすり合わせるなど、不衛生で考えられないだろう。しかし、非常事態においてその感覚はがらりと入れ替わるのだ。教育でつくられた仮の人格ではなく、本能が目を覚ます。

 京子はただ身の安全を確保しようと考え、立ち尽くしていた。そんな京子に隣室の、ボロを身にまとった女がこえをかけてくる。

「不安よねぇ…」

 漠然としすぎた言葉ではあったが、この人も自分と同じなんだと思うと安堵する。

「ええ、あの、いったいこれは……」
「……どうにもならないことって、こういうことなのね……」

 隣室の女はマヤと名乗った。どういう流れでこんなことになったのかは言わないのだが、マヤは京子に優しい視線を向け、マヤの部屋に入るよううながした。隣室なので当然だが、同じ間取りの部屋だ。部屋の中はやはりさびた鉄と薄暗い空間ではあったが、物の置き場を整えてあるだけ京子の部屋よりましだった。奥の部屋に行くとそこにはうつむいた男たちが数人すわっていた。マヤは明るい声で言った。

「この人は京子さん。お隣の部屋なの。こんな状況だから、一緒に助け合おう」

 男たちは小さくうなずき、わずかに微笑をたたえた。マヤは一人の男のよこに座り、手指をからめ、顔と顔を近づけて安心した表情になっている。京子のよこにも一人の男がきた。初対面なのに近づきすぎている気がする。

 日ごろ、仕事のうっぷんを晴らすために男を誘うことはするが、こうして男に頼らなければならない状況は、京子にとって本位ではなかった。自分の意志で自由にセックスするのがかっこいいと思っていた。マヤのように男にしなだれかかるなんて嫌だと思った。

 しかし、京子の隣に陣取った男は鼻息荒く京子の耳と首筋へ吸い付き、女のにおいを胸いっぱいに吸い込んだ。同時に、両手で荒々しく左右の胸を揉みしだき、小柄な京子を組み敷いてしまう。そのまま一気にTシャツを胸の上までまくりあげ、

「ほら、お前らも見ろ。体は小っせえが、なかなかのオッパイだ」

 周囲の男たちに京子の胸を見せた。興奮した様子の男が3人、京子のまわりを取り囲む。おお……とため息をもらしながら男たちは京子の胸や太腿をなでまわしていく。

「嫌! 嫌よ! マヤさん、助け……」

 京子の声が高くなり、叫び声をあげようとした瞬間、一人の男が京子の口を、ぶ厚い唇で覆った。男は大きく口を開け、よだれをたらしながら京子の口のまわりを舌でベロベロとなめまわした。京子は自分の口に男のよだれがはいらないよう、口を閉じることで精いっぱいだった。男の強烈な口臭と、つばのにおいで吐きそうになっていた。マヤは隣の部屋で男と交わりはじめている。京子を助ける気配はなかった。

 京子が声をあげないのをいいことに、男たちは京子の体を弄んでいく。絶対に逃げられないとわかっている獲物は、いたぶってから犯すのが男たちの趣味のようだった。男たちは京子を後ろ手に縛った。男の一人があぐらをかいて京子をひざに座らせ、片手で口を押さえた。

「気持ちよくしてやるから、ほら、足開け」

 京子は無理な体勢でぶんぶんと首を振った。男たちは嫌がる京子をにやけた顔で見おろし、まだ下着をつけている状態で、左右に大きく足を開かせた。そこからは京子が陥落するまで、ネットリと乳首を責め、首筋を責め、下着の上から陰核をチュウと吸い上げ、やがて京子の口から吐息にまざった喘ぎが漏れはじめた。京子の吐息にこたえるように、男の一人が京子の下着をおろした。真っ赤な陰核がツルリと剥けた状態で男たちの眼前にさらされた。京子はわずかに残った理性で男たちをにらみつけた。

(こんな汚らしい男たちに触られて、感じるはずない……)

 京子は涙目になりながら自分のあそこへ目をやった。男の一人が、つつ……つつ……と指先で陰核をなぞっている。その動きは、蜜壺のうるみを陰核にまとわせながら、無限に広がる快楽の平原へと京子を導いた。もう、意識を保っていられそうにない京子は、うぅ……と小さく呻いたあと、理性のすべてを手放した。

「……ふ……うぁああああ……!!」

 最初に大きく全身をわななかせたあと、小刻みに手足をふるわせながら、京子は絶頂に達した。その絶頂があまりに大きすぎて、体に力が入らなかった。

 男たちは満足げにその様子をながめると、それぞれの珍棒を取り出した。一人は京子の雌穴に、一人は口に突っ込んだ。あとの二人はうしろで腕を組み、待機していた。充分に濡れすぎた京子の雌穴は、じゅぷじゅぷと音を鳴らしながら男の珍棒を受け入れた。口に突っ込まれた珍棒は、小さなカスがたくさんついていたが、唾液をたくさん出して飲み込んだ。早くきれいにして、男をイカせたいと思った。下から突き上げられる圧倒的な快感の前に、汚れた珍棒を咥える苦痛はとても小さなものになっていた。

 そのまま、雌穴と口で男達の白濁液を受け入れた。京子は抗いながらも、抗えない現実をどこか受け入れ始めていた。


 やがて京子はその部屋でセックスをするのが日常になっていった。疲れたら眠って、目が覚めると男達とセックスを始める。セックスが終わると男達は少しのパンや水をくれる。そのパンや水は、男達がたまに外へ出て持ってくるものだった。外には何か危険があるらしく、負傷して帰ってくることもある。そんなときマヤと京子は男を手厚く看病し、男が苦しんだら自らの乳房に触れさせ、男の生きる希望となった。頭から肩にかけて火傷を負った男は、京子に言った。

「……傷が治ったら、また遊ぼうなあ……」

 京子はその男の性癖をよく知っているので、男の指先を自分の雌穴の後ろ、ウンチ穴へと導いた。男の指でウンチ穴を何度かこする。ろくに洗っていないウンチ穴は洗っていない粘膜特有のにおいと茶色い排泄物のにおいがまざった、強く鼻をつくにおいであった。男はそのにおいをかぎ、

「あああ……ここは天国だあ……」

 と幸せそうな表情をして、やっと痛みから逃れて眠りにつけるのだった。
   

 

完