またやってた。
眠る直前に。元彼が今何をしているのかを探るようなことをしていた。今はなんでも調べればわかる時代。名前とちょっとした情報さえあれば、たいていのことはわかる。
昼間、仕事してる時は元彼のことなんて微塵も考えないのだけれど、眠る直前、心の隙間を闇がぜんぶ支配して、そのときにできうる限りの悪行を行おうとする。それは、匿名でインターネットに何か書くことであったり、こっそり人の日常を覗くことだ。そしてこれがエスカレートしていくと、本当に人を傷つけたり闇へ引きずり込んだりするのだと思う。
元彼は、バカみたいに日なたで笑ってた。
なんだこれ、バカかこいつと思った。友達の名前がたくさんタグ付けされているのを見て、バカタグと呼んでバカにした。こいつバカタグ5個もついてるしwww バッカwww!!!
夜中に一人で大笑いしていた。
静寂を切り裂く笑い声は狂気を演出する。具合は悪くないけれど、少し吐いてみようかという気持ちになった。吐いて、涙目になってまた笑いたい気持ちだった。吐くのは大っ嫌いだけれど、なぜかそうしたかった。
トイレに行って髪の毛を少し抜いて、洗面所に行って毛穴すっきりパックを鼻に貼り付けて、無駄な毛を抜いて、あそこの毛を全部剃って、毛穴すっきりパックをベリベリ剥がした。たくさんの汚れが落ちた。爪を短く切って全身の体毛を剃り落とした。
部屋にある朝井リョウを後ろに追いやって、近藤史恵と新津きよみと乃南アサもなんか違うって思って後ろのほうにやって、じゃあなんの本なら手前に出しときたいのか考えても、太宰でもないし安吾でもなくてやっぱり吐かなくちゃダメだって思って裸のままトイレに戻った。
綾辻行人も今夜だけは違うと思った。だってあの人人気者だもん。有栖とお茶したとかツイッターで書いてる時点でダメ。今受け付けません。
誰も受け付けません。
本日の営業は終了いたしました。
営業再開日は未定です。
みなさん、さようなら。