こんにちは、セブ島で語学留学中の、かんどーです。
先週、日曜丸一日かけて「セブンスピリット」というNPO法人が主催しているスタディツアーに参加してきました。このNPO法人は日本人が運営しています。
ツアーの内容は
・ごみ山で暮らす子どもたちとのふれあい
・スラム街の子どもたちが奏でる音楽とのふれあい
です。
めちゃくちゃ嫌なこと書きますが、そもそもわたしはボランティアやNPOって、半分信用していません。悪意のある人が運営していることもあるので、簡単に寄付などはしないし(お金が悪用されることによって負の連鎖が起こる)、そもそも貧困を人に見せるツアーってかなりギリギリのラインだと考えていました。
だって、貧困って国が考えるものでしょ? そんなに簡単に物事は変わらないんじゃないの? それに、わざわざ日本人がフィリピンでNPOをやるって……どういうこと?
そういう気持ちがありました。
午前中、セブンスピリットの拠点に集合し、簡単に説明を受けてすぐ車に乗り込み、移動しました。参加者はわたしと友達、他の語学学校の生徒さんグループ、ペアが参加して合計10人くらいでした。
30分くらいでゴミ山に着きました。
子どもたちはゴミを集めていませんでしたが、高齢の女性が一人、ぽつんとゴミを集めていました。近づいて「何を集めているの?」と聞いてみると、「プラスチック」という答え。どうやらゴミ山から特定の素材を集めるとお金になるようです。この女性は親しみやすい感じで、悲壮感などはありませんでした。臭いとかもなかったです。
…このゴミ山は臭くなかったけれど、この手前にあったゴミ山は腐敗臭がすごかったです。
「ゴミ山の住人」と言っても、腐敗臭のするゴミ山に住んでいるわけではなくて、腐敗臭の無い廃棄場近くに住居を構えて暮らしている人たち、です。
ツアーなので話を聞く家族をあらかじめ用意してあるのだろうけれど、かなり自然に近い形で話を聞かせていただけたご家族。お父さんとお母さん。
お父さんはメカに強く、いろんなものを直して売ったり使えるようにすることができるそうです。背景に映っているけれど、電気通ってます。テレビもあります。
お母さんは「子どもが3人いる。それぞれ警察官、教師、スポーツ選手になりたいと言っている。それをかなえてあげられたらいいな」と言っていました。
※英語を現地語に通訳してくださる方がいるので、質問したい内容はあらかじめ準備しておくと良いです。わたしは「子どもに何を望むか」と「好きな食べ物は何か?」を質問しました。好きな食べ物は自分で栽培した野菜だそうです。
悲壮感がまったくないまま、子どもたちとの絡みがスタート。
ピンクの服着た子が、いつまでも手をつないで離さないでいてくれて、その手がとてもあたたかかった。小さくて、柔らかい手だった。
イケメンすぎる子どもをパチリ。どこにでもイケメンっているんだな……。わたし、右側の子どもの顔が超タイプです。ジャニーズ入れるレベルでかっこいいぜ。
記念写真も撮ってもらったよ。
…いや、ほんとにどこにでもいる可愛い子どもたちだった。
だけど、ここにいる子どもたちはみんな、小学校を出るのがやっと。頑張って高校まで出ても(高校までは無償)、フィリピンでは大学を出ていないと、給料の良い仕事に就くことは難しいそうです。
結局、ゴミ山で生まれた子どもは、大人になったらゴミを拾う生活を始めてしまうのだそうです。。
帰り際、わたしたちの車が発車すると、何人かの子どもたちが追いかけてきました。危ないよ! って声をかけても走ってついてくる。ピンクの服着た子の手の感触がよみがえってくる。別れはあっという間で、とてもさびしかった。
…この子たちは、20年後ゴミを拾って生活しているんだろうか。
頭に疑問符だらけのまま、セブンスピリットに戻り、昼食です。
チキンにカラマンシ―(レモンのような果物)を絞って、添付のタレをかけて、ごはんと一緒に食べました。
なんとなくビミョーな空気だったのですが、セブンスピリットは、常に子どもが出入りしています。わたしたちがお昼ご飯を食べている間も、子どもたちがどんどん入ってきて、話をしたり楽器を鳴らしたりしています。歌声も聞こえてきました。
補足すると、セブンスピリットは、セブの中でも治安の良くない、スラムの近くにあります。その近隣から子どもたちが来るので、けして「よいこ」ばかりではないハズ。なのに……ものすごく良い雰囲気が伝わってくるんです。子どもだから無邪気だろう、みたいな後付けの理由じゃなくて、とにかく早く楽器触りたい! っていう意欲みたいなものが感じられたんですよ。
ごはんを食べ終わってしばらくすると、「セブンスピリット」の代表、田中さんから直接話を聞けます。
フィリピンの貧困問題、就学率の問題などがメインですが、質問も受け付けてくれます。わたしは「大学に行けなかった女性はどのような仕事に就くのか?」という質問をしました。「メイド……が多いですね」という返答をいただけました。
他にもたくさんの質問があって、最後に田中さんが話したのは、
「大学に行けないと道が開けない。でも、今のスラムにはその希望が無い。希望が無いと子どもたちに覇気がなくなってくる。でも、ここ(セブンスピリット)があることで、楽器吹きたい、もっと楽器続けたい、勉強もしたい……っていう気持ちが湧いて来れば、道は開けると思うんですよ。実際、来年初めてここ(セブンスピリット)から大学に入学する子が出たんです。スラムで育っても、大学に行けるんだ! っていう例がひとつできたことが何より嬉しいですね」
わたしはここでまた質問をしました。「その子は学力で大学に入ったのか、それとも一芸入試か」という質問です。
「うーん、演奏の腕を買われたところもあると思うけど、ここ(セブンスピリット)の子どもって本当に真面目でいい子なんですよ。入口は音楽だけど、いっぱい勉強してくると思います」
という答えをいただきました。意地悪な角度からの質問なのに、誠実に答えてくださり、ありがたかったです。
結局のところ、政府が救えなかった子どもをセブンスピリットが小さな網で救っている。小さなセーフティネットとなっているんですね。確かにここの子どもたちは音楽に対して超真剣。わたしの言葉じゃ伝わらないと思うから、挨拶の動画と、音楽の動画を貼っておきます。
※この日は一軍メンバーが演奏会に呼ばれていて不在。演奏しているのは小さな子たちです。つまり、この日は演奏のコンディション自体は最善ではないです。
子どもたちの自己紹介。英語が基本ですが、日本語で自己紹介する子も! 両方いけるのでしょう。素晴らしい。
演奏は全部で4曲あったのですが、感極まってしまい録画できていませんでした。。周りに人がいなかったらガチ泣きするレベルで良かったんです。。まだ6歳とかの小さな子供がバイオリンをしっかり弾いている姿や、それまでふざけていた男の子がフルートに命を吹き込む姿は、これまで聴いたどんな音楽よりも心を打ちました。
最初の方に書いた「NPOが信用できない」や「物事は結局変わらないんじゃない?」という考えは全部吹っ飛びました。
ああ、来て良かったなあって思いました。
そういえば、わたしが起業したときも「世の中の大部分のことは変えられない。でも自分の周りだけでも、幸せな連鎖が作りたいから起業する」と思って起業したんだった。
社員に幸せになってほしい。身近にいる人に幸せを感じてほしい。今近くにいる子どもたちに笑ってほしい。根本にあるものはきっと同じだったんだなと。
わたしはここでボランティア活動をすることはしません。日本で働いて、少額でいいから寄付をしたい、そう思いました。自分の意志で継続して寄付をしようなんて決めたの、たぶんこれが初めてじゃないかな。
若い人なら、現地で一緒に動いてボランティアするのがいいと思う。だけどわたしの場合は、日本でしっかり仕事を続けて、きちんとお金を使ってくれる人に届けるほうがたぶんいい。
この記事は、寄付を推奨するものではありません。
わたしの考えは「自分の目で見て、本当に良いと思ったものにだけ対価を支払う」です。たぶんこれは変わりません。わたしは「セブンスピリット」がずっと続いて、大学に行ける子どもが毎年一人でも出たら嬉しいんです。子どもたちがそこに希望を持って演奏を続けている、そう思うだけで毎日の仕事ががんばれると思うんです。
寄付もボランティアも、自分の目で見て「ここ、いいな」と思ったところにだけしてほしいです。募金箱があったら入れときゃいいってもんじゃないんです。
セブに滞在している間に、あともう一度この演奏が聴きたいと思いました。
※掲載許可取ってないので、ツアー参加者の方はモザイクです;
もう一回聴いたら、今度こそ泣いちゃいそうだから、後ろのほうで聴こうっと。
それじゃあ、また明日!