帰国してから読書が止まらない、かんどーです。休日一日に対して一冊の勢いで読み切ってます。45日間一冊も読まなかったので、乾いた砂に水をまくように、体が小説を吸収していきます。
飛鳥井千砂さんの「砂に泳ぐ彼女」が発売になるとのことで、お、久しぶりの新刊か! と勘違いして買ってしまったのです。(実はこれ、数年前にハードカバーですでに買って読了しています、いわゆる二重買いです)
ただ、当時はこの小説をものすごくあっさりと読み切ってしまいました。そして、わたしは本を所有しないので、もう家にこの本は無いのです。確かよく行く喫茶店に寄贈した気がする。
今読み返してみたら、なんと疾走感があって、かつ密度の濃い物語なのかと震えあがりました。。個人的に思い入れは深いですが、これ単純に「面白い小説」なので雨の日の休日に楽しんでみてください。
飛鳥井千砂著「砂に泳ぐ彼女」
ハードカバーのときは「砂に泳ぐ」でした。
物語は地方の携帯ショップ(!!)が舞台です。働いているのは25歳の女性。彼女が主人公となって物語が動いていくのですが、何ていうか「損してる子」っていうイメージで、とても好きになれない導入でした。
著者は携帯ショップでの仕事の経験があるようで、かなり緻密な描写がされていました。携帯ショップのことを書いてあるというだけで、全国のショップスタッフさんに読んで欲しいと思う物語です。
「携帯ショップ」が、末端の者がクレームを処理するきつい場所である、ということを見事に切り取っていました。
偉い人たちは絶対に現場に降りてこないのである、なんて表現もあって、胸が痛くなりましたね()
物語は飛鳥井千砂さんのダイナミックなハンドルさばきで、まさに「緻密なのにわきあがってくる勢い」があるというか……すべてのエピソードが無駄なく緻密に敷き詰められていて、要所要所でいい感じに「イヤな人」も出てきて面白いです。
…わたし、この本をハードカバーで読んだ時、一気読みしてしまって、感想もどこにも書いてないんですよ。なのに、登場人物の中で「携帯ショップ」に関わっている人物の名前だけ、きれいに覚えていました。
リアリティがあって最高でした。
そして、飛鳥井千砂さんのほんとの新刊を、また読みたいです。「タイニー・タイニー・ハッピー」を始めて読んだときの衝撃をまた味わいたいです。不器用な女の子描いたらこの人の右に出る人いないんじゃないだろうか。
超絶おすすめの小説です。
それじゃあ、また明日!