接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

夏だから金魚の話する

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今日は金魚の話する。夏だからね。


アートアクアリウム展の話とは特に関係ないし、ただの自分語り。


だからつまんなそうだと思ったらブラウザバックしてね。 今日はやさぐれモードで書くから、ちょっと言葉も荒いから。読む人全員を幸せにするような文章なんて世の中にないから。


★★★


金魚の話一つ目
わたしは幼少期、金魚すくいがめちゃくちゃうまかった。もう、うまいなんてレベルじゃなく、金魚がわたしのおわんに飛び込んでるんじゃないのかってレベル。商店街の金魚すくい大会で優勝したこともある。16匹で優勝できるんだから、ちょろいもんだよ。

今でもスーパーボールすくいとか、めちゃくちゃうまい。ちょっと自分でも引くレベルでうまい。手先はそんな器用じゃないんだけど、一度覚えた「すくい方」を忘れていない。金魚すくいだけはたぶん、ガチでうまいと思う。


わりと最近、携帯ショップのイベントでスーパーボールすくいの露店やったんだけど、子ども相手に真剣になっておわんに山積みでスーパーボールすくってたら、スタッフさんに「大人気ないからやめてください!」っておわんをひっくり返されるレベルで大人気なかった。

一個もすくえない子どもを尻目に、二十個とかすくってるわたしの姿はとても大人に見えなかったそうだ。おわり。



金魚の話二つ目
そんなわけで幼少期のわが家には必ず金魚がいたのだが、あるとき母がキレた。ろくに世話もしないくせに得意気な顔をして十匹も二十匹も金魚をすくってくるわたしが憎かったそうだ。

母はわたしがすくってきた金魚を憎んだ。

その日も祭りがあって、わたしは金魚すくいをして帰ってきた。二十匹はいるであろう金魚袋を母に「はい! あとよろしく!」と手渡した。その日は疲れていたのですぐに布団に寝転んだ。

…そんなわたしのすぐそばで、母は恐ろしい形相になっていた。母がこれから何をするのかを見たくなくて、わたしはソッとふすまを閉めた。閉めても何の解決にもならないとわかっていたのに、当時のわたしには、そうするしかできなかった。

暗い部屋。布団の上でうとうとしていると、ふすまがスッと開けられた。ポスンと何かがわたしの足元に置かれた。クシュ…という音から、それはビニール袋であることがわかった。反射がないのでたぶん黒いビニールだ。そして、その「クシュ」に続いて…ぽすぽす…ぽすぽすと規則的なような不規則なような音がする。なんだこの音は。

子ども心にこれは開けてはいけない袋だと思った。「ぽす…ぽすぽすぽす…」この不規則さは生き物にしかありえない。この袋の中には……さっきわたしがすくってきた金魚がいる。わたしはその夜眠れなかった。ずっと「ぽす…ぽすぽす」という小さな魚の跳ねる音をただ聞いていた。

明け方になっても「……ぽす」小さな音が聞こえていた。母はビニル袋に少量の水でも入れたのだろうか。こんなに長くこの音を聞かされて、わたしは精神がおかしくなるかと思った。


「……起きたね」


母がふすまの向こうからこちらを覗いていた。眼鏡の奥の目が冷え切った、恐ろしい目だった。「は、はい起きています」と返事をした。もう恐ろしくて仕方がなかったのだ。この状態でビニル袋の中の出目金など投げつけられたりしたら、たぶんショックで死ぬと思った。口の中に死にかけた金魚が入った自分を想像したらいやな汗が出た。だから、母の好む「きちんとした子ども」のふりをした。

「起きています、今日はドリルをします、それから…それから…」

いつもドリルをやらなくて叱られているので、今日はドリルをすると言った。母は薄く笑みを作ってビニル袋を右手で持ち上げ、わたしの方に袋ごと投げてきた。わたしは素早くよけたので袋との激突を避けられた。「……ぽす」まだ中には生きている魚がいるようだった。それがどうしようもなく恐ろしかった。

「これ、まだ死なないね。あんたが世話もしないのに毎週毎週金魚ばかりすくってくるから、頭に来て袋に入れたのに……あんたの好きな金魚なんだから、あんたがどうにかしなさいよ」

わたしは身じろぎもせずに、しかし唇を噛みしめ、目いっぱいに涙をため、ボロボロと泣いた。「ぷくぅ……ふぇえええん」という変な声に自分でも驚いた。


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ずっと泣き続けた。ただ怖かったから泣いていたのだが、母はわたしが反省していると思ったのか、金魚の入ったビニル袋をゴミ箱に入れてくれた。

「まだ動いてるけど捨てるよ……」

と言い残して。

その翌年の夏祭り、わたしは「カメすくい」に夢中になり、自宅に3匹のカメを持ち帰ったのだが、それは幸い長生きした。母は魚類よりカメが好きだったようだ。おわり。



金魚の話三つ目(今日のブログ長いけど、まあ休みだろ? まあ最後まで読んでけ)
金魚と言えば思い出す某ブログの人のブログトップ画が「アートアクアリウム」だったことw あの人は自分を表に出さないから荒れなかったけど、個人的にはさめVS金魚の図が頭に浮かんで大変だった。

その流れで書いてしまうけど、わたしはあの金魚のブログの人が美しいことに結構早くから気づいていた。街歩いてたら絶対目立つレベルで美しい人だと思っていた。年齢も離れている(だろう)し、ブログの方向性もまったく違うので、それまでわたしは彼女に対して嫉妬などしなかった。

しかし、先週の記事を読んで初めて、わたしの中に黒い感情が芽生えた。その日の記事はいつもと違う内容が書かれていて、彼女が若いころに芸能活動をしていたことが書かれていた。その世界はわたしが追って追って追い求めて届かなかった世界だった。

世の中にはいつも、ヒョイと柵を超える人と超えられない人がいる。努力とは関係のないところで超える、超えられないが決まってくる。

だからわたしはそういう世界が、芸能が、すべてが嫌いになった。6年間一音たりとも歌を歌わなかった時期があった。文庫本で古い純文学を読むだけの時間がすぎた。外で忙しく働いていたけれど、あの時期のわたしは「引きこもり」と同レベルで傷ついていたのだと思う。

やっと音を口ずさめるようになった頃には、テレビを見ても芸能人も知らない人ばかりだし、映画もまったくわからなかった。演劇も何を観たら良いのかわからなかった。あれ? わたし、音楽って何が好きなんだっけ? 好きな芸能人って誰。

とりあえずテレビに出ている人の名前をなんとなく覚えた。仕事で関わる人は、わたしが芸能人を知らなさすぎて驚いていた。


まだ傷は癒えていないと思う。ものすごくライトに、一線を引いてからでないと芸能に触れられない。怖いのだ。

自分がずっと選んでもらえなかった世界が、ただ、ものすごく怖いのだ。

きれいにやめられなかった自分のことも、嫌いだ。だから今夜だけは、あの金魚も嫌いだ。ごめんね。


金魚は大事に育てるとこんなに大きくなるよ。

 
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わたしは大事に飼われている金魚を観るのが好き。アートアクアリウムが嫌いな彼女は、この水槽なら許してくれるかな。


まあ、うちの水槽じゃないんだけどなw


それじゃあ、また明日!