接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

花火大会の思い出

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夏の星座にぶらさがって、花火の話書く。

 

 

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わたしは花火が好きだ。蒸し暑い夏の夜空に、大きな音を立ててドーン! と打ちあがる花火が大好きだ。花火と一緒に消えたくなるほど、好きだ。草むらの感触が好きだ。相手によって飲むものや食べるものが変わるけど、何を食べても飲んでも、花火の時はおなじ、幸せな味がする。

 

大空に打ちあがる炎の花。あれは見る価値があると思う。本当はわたしも花火が見たい。だけど起業してから丸7年、わたしは土日に仕事を休まないようにしている。かきいれ時だとわかっているから出勤したいのだ。だからわたしは起業してからは、花火大会に行くことなんてハナから諦めていた。

 

 

 

しかし、一度だけ例外があった。

 

その年はどうしようもなく仕事が無くて、正直死のうかと思うくらいきつかった。お金がなくて死にそうだった。そんなとき、友だちが花火大会に行こう! と誘ってくれた。友だちは男性だが恋愛感情はまったくナシ。というか彼の恋愛対象は女性ではなかった。ちょっと落ち込んでいたけれど、わたしは友だちと、花火大会に行くことにした。お金もかからないし。

 

少し混んでいたけれど、友だちとわたしは、穴場的な河川敷の一角に腰をおろした。夏草のにおいが疲れた心に心地よかった。

 

やがて、花火が始まった。

 

ライブイベントなどと違って、空間ごと演出するのは難しいはずの、ただの河川敷。どう始めるのかワクワクしていた。

 

 

花火は、音と光とで全てを表していた。ひとつひとつの花火玉は、職人さんが精魂こめて作ったのだとわたしでもわかった。すぐに魅了され、ひきこまれた。

 

 

しかし同時に、花火の音と光に包まれていることで、奇妙な落ち着きがわたしと友だちをつつんだ。たくさんの人がいるのに、まるでこの世界に二人でいるような気がしたんだ。

 

 

友だちとわたしは、花火の間じゅう恋愛の話をしていた。お互いのこれまでの恋愛を、これからの希望をずっと、ずっと語っていた。蛍光灯の下では話せないことが、不思議にすらすらと話せた。あの現象を化学式であらわすとどうなるのだ? 人間は割り切れないことばかりである。

 

 

友だちはお金を使うのが好きではないので、安いお店でお菓子を買ってきてくれていた。わたしたちはそれを食べながら花火を見上げ、合間にずっと恋愛の話をしていた。話が盛り上がりすぎて、花火の時間が15分くらいに感じた。実際は1時間以上、花火は上がっていたらしかった。花火が終わっても話が止まらず、終了後の清掃の人が回ってきて「あっ」と気づいてやっと帰路についた。

 

帰り道も、居酒屋に寄ったりすることはなく、ただ歩きながらずーっと話をしていた。友達が自転車泥棒に間違えられて大変だった話だとか、そんな話をずっと聞いていた。

 

 

あの日の花火。

 

 

息抜きも必要だよって教えてくれたような色だった。わたしはハマりこむと仕事に一心不乱に取り組んでしまい、世界中の色が見えなくなる。花屋に行っても色がわからない。服の色もわからない。音楽の響きもわからない。世の中全部が「色と色の組み合わせ」や「オケと歌の組み合わせ」みたいに単調なモノに思えてしまう。そんな単調なものじゃないって自分でわかっているのに、深く見られない。

 

周りから見ておかしくない格好をして、仕事だけをしている時期だった。

 

今でも気を抜くと、その頃の自分が戻ってきてしまう。お仕事モード発動ってやつだ。そして、プライベートでそんなふうになってしまった日は、自分で自分に腹が立つ。

 

 

 

花火が、見たい。

 

 

 

わたしがまた、花火を見る機会はあるのだろうか。

 

人混みが嫌いだと、花火に来てくれない人は一定数いるし、そもそもわたしは土日に休みを取れるようになるのだろうか。

 

 

枯れてしまったんじゃないかと思えるわたしの人生。もうビジネスだけやってりゃいいじゃんと自分ですら思うわたしの人生。

 

 

 

 

…でももう一度、夜空に花火が打ちあがる瞬間が、見たい。

 

 

 

 

自分の人生に期待して何が悪いの。自分の能力や才能を信じて何が悪いの。誰かをうらやんでぐちぐち言うより、まっすぐに自分のやりたいことに向かうって素敵じゃん。恥ずかしいけどわたしは、これからの自分に期待してる。

 

来年の今頃は、たぶんものすごく暑い場所で、ちょっと雑なつくりの花火を見てる。

 

そう、あの子とあの人と、まだ見ぬ世界中の友達とね。

 

 

それじゃあ、また明日。