先日、大阪出張の際、ずっと行きたかった場所へ行ってきた。それは、澤野工房という、良質なジャズを紙ジャケットでつくりつづけている場所。
音楽が好きな人なら、試聴なんかで一回くらい目にしたことがあるんじゃないかな。澤野工房の紙ジャケ。大阪の「新世界」という場所でまだ実店舗があることを知り、先日行ってきました。
お店の写真は撮ってませんが、商店街の中にある下駄屋さん…の中にひっそりとCDの棚があるだけの、ほんとに6畳くらいのスペースです。でもそこには一枚一枚丁寧に「こういう曲が入っています」という言葉がびっしり詰まった紙が一枚入った状態のCDたちが、販売されるのをうきうきと待っているのです。
参考までに。わたしが買ったCDたち。
15年くらい前に初めて聴いて鳥肌が立った「ウラジミール・シャフラノフ・トリオ」を中心に、気分が上がりそうなのを3枚買いました。(ちょっと今日の話題には音楽の解説不要なので割愛)
中に入ってる紙はこんな感じ。
大阪から帰宅してパソコンでCDを取り込み、この説明書きを読みながらCDを聴いてる時間、とてもしあわせだった。愛ある作られ方をしたんだなあって伝わってきた。音楽を愛する人が作ったCDだってひしひしと伝わってくる。
澤野工房さんのホームぺージから、この工房のありかたを一部抜粋して引用します。
ここは大阪、新世界。私共は通天閣のお膝元のこの地から、数多くのジャズ作品を世に送り出している小さなジャズ・レーベルです。「自分が聴きたい作品をリリースする」という言葉をモットーに、ヨーロッパを始めアメリカ、日本のモダン・ジャズの中から優れた音源のみを厳選し、皆様にお届けするべく日々奔走しています。
入手困難となった幻の名盤と言われている作品は可能な限りオリジナルに近い形で復刻。そして世界各国で活躍している無名のジャズアーティスト達に目を注ぎ、新たな作品の制作を行っております。レアであるというだけで埋もれてしまうには惜しまれる数々の演奏・・・それらに光をあて新たな命を吹き込む試みです。
ああ、一時期まったく音楽を聴かなくなってしまったけれど、また楽しんでみようかな……そんなふうに思った、希望の風が吹いた夜でした。今度ジャズバーとかも一人でふらっと行ってみよっかな…なんて思ってました。
しかし。
ある近しい人に、ジャズの聴き方を指南されたことで、もうわたしやっぱり音楽聴かなくていいやって思いました。その人の言うことは、おそらく正しいんだと思います。
「ジャズは身を削ってする音楽だから、ジャズプレイヤーはロックのプレイヤーを見下している。極論、音を研ぎ澄ますために目をつぶしてしまうミュージシャンだっている」
というジャズの極端な論理に始まり、
「ジャズは歴史をひもといて、古いジャズから順に聴いて、なぜこのミュージシャンがこういうアレンジをしたのか、その背景も知っていないと楽しめない」
ということを言われました。そして、
「今知らなくても、どんどん勉強を積み重ねていけば楽しめるようになる」
……勉強。ジャズを聴くための下地としての勉強。仕事して疲れて帰ってきて、TOEIC(英語)の勉強ささっと終わらせて、筋トレやって、その後また勉強するのか。あーもういいや。ジャズ聴くのやめよ。
わたしはそう結論を出しました。
さらに、ジャズの世界では、寝る前にちょっとジャズを聴いてから寝よ、みたいなライトなファンを見下すそうです。楽しくてジャズ聴いたらだめなんだそうです。もちろんそういう人がすべてじゃないにしても、とりあえず目の前に一人、そういう人がいることは確かで、きっとめんどくさい世界なんだろうなと容易に想像がつきました。
「この人に音楽の話したのが失敗だったなー」と最初は苦笑いしていたけれど、話を聞いているうちに、どんどん、音楽が憎かった自分がよみがえってきました。なんだよ、結局音楽の世界はわたしを排除するのか。だったらこっちから願い下げだぜ。
音楽が憎くなった頃のわたしのことが書いてある記事。
なんだかもう嫌になったので、iPadに取り込んだばかりの音楽たちを全部消去しました。あーすっきりした。
音楽なんてたまにyoutubeで聴きゃいいんだ。音楽を生業にしてる場所なんて二度と行かない。車の中で音楽は元々聴かなかったけど、これからも聴かないと思います。テレビの音楽番組も間違えて動画サイトで観てしまわないように気を付けます。
仕事中に店で音楽がかかっているのが嫌だけど、仕事なのでこれは我慢しようと思います。意識を接客に向け続ければ大丈夫。
写真に撮った3枚のCDも、ほうっておくとまた頭がおかしくなったときに捨ててしまいそうなので、誰かの手に行くように近所のショップに売りに行こうと思っています。
わたしは音楽が、大っ嫌いです。
二度と耳にしたくない。
嫌な事件(クラブシンガーやってたときに歌が大嫌いになる事件があった)から10年経って、すごく気安く音楽に触れさせてくれた人がいて、やっと少し聴けるようになったけれど、またやり直し。
今度はどのくらいの期間で、また音楽聴けるようになるだろうな。また10年とかかかっちゃったら、もしかしたら死んでるかもしれない。小説があって良かった。小説の世界なら、大抵のことを言われても言い返せる。
「いや、その解釈違うっしょ!」
って自分の意見を言える。音楽だけは本当にダメなんです。過去の傷がやっとふさがった状態だったので、うまくかわせなかったし、正面から相手の言葉を受け止めてしまった。
音楽の話から話題をさっさと変えてしまえばよかった。
とりあえず、youtubeのアプリもうざいのですべてのデバイスから削除します。カラオケも行きません。っていうか行けません。カラオケが関わりそうな場所もしばらく避けます。鼻歌も歌いません。竹笛もさっき捨てました。
beatsのヘッドホンとBOSEのイヤホンあるんですけど、これはお世話になってる友達にあげちゃおうと思います。けっこういい音するんで、喜んでくれると思う。
あーこれで音楽聴く時間自由になって、よりたくさんの本が読めるわ! これはこれできっと楽しい生活が始まると気持ちを切り替えて、今日も生きていこうと思います。今日は電車に乗ってる時間が多いから、短編小説を読もうっと。
喫茶店入ったときのために耳栓買っとこ。聴きたくないのにああいうとこ音楽流れてるから。腹立つもんね。
明日はもう少し明るい話題を書きたいと思います。
それじゃあ、また明日!
追記
わたしは音楽が嫌い…というタイトルを何度も読み返して、なんだか違うなと思いました。昨夜、1時間くらいかけて自分の中でこのことを考えて、わたしが嫌いなのは何なのかを突き止めました。わたしが嫌いなのは、
・ギャラをきちんと払わなかったライブバーのマスター
・音楽の聴き方についてうるさく言う人
・歌にのめりこみ過ぎて楽しむことを忘れた自分
この3つなんです。だから、音楽を嫌うのはちょっと違う。上記の3つが「嫌い」なんですね。記事中に書いた「音楽の聴き方についてあれこれ言う人」についてもやっぱり嫌いだけど、それだけで音楽を嫌いになってしまうのは早計な気がしました。
ただ、心が疲れているのでしばらく音楽を聴くのはお休みします。だけどなるべく早く回復できるように、健康的な生活をして、心身共に元気になりたいなと思っています。
最近寄稿交換をした「天才ブログ」の天才ちゃんが、記事を書いてくれました。
ありがとう。
ブコメで励ましてくれた方も、ありがとう。