きっかけは、カメラ好きな方がシェアした記事でした。
「光の使い方がすごい絵がある」
たったそれだけ。カメラを持つ人なら、かならず意識する「光」。それを見事に使った絵が展示されているぞと。原宿の太田記念美術館で、葛飾北斎の「富嶽三十六景」の全展示および、北斎の娘、応為(おうい)の描いた絵を見てきました。
「光の使い方がすごい絵」というのは応為の絵。彼女は晩年の北斎をしのぐ美人画の名手だったそう。
彼女の描く吉原の格子ごしの女たちはみな、光によってうつくしく照らされ、そして中央の遊女は、影によって表情が見えなくなっていました。あきらかに、描き手の作為、あえての影でした。
気になったら見てください。このリンクの中に絵がありますから。
北斎の絵が想像以上に良かった
そして、わたしにとって本当に良かったのは、実は応為の絵ではなく、北斎の絵。
わたしは、富嶽三十六景ってどういう意味なのか知りませんでした。あれって、いろんな場所から富士山を見て、それを描いたシリーズなんですね。
そして、三十六と言われているけれど、実は四十六作あるそうで。今回はそのすべてを展示してくれていました。
葛飾北斎といえば代表的なのは、これですよね。
北斎の絵は、正直に、あるがままを描く「描写」ではありません。ある意味トリッキーというか、観る者を試すような、楽しませるような仕掛けを仕込んであるんですね。
例えば、湖にうつる富士山を描いても、実物の富士山は夏の様相なのに、湖にうつっているのは、雪をたたえた冬の富士山であったり…
今回の展示は、北斎の絵の楽しみ方をダイレクトに伝授してくれる、すばらしい展示でした。
「ビビッドな色彩」「大胆な嘘」などの項目で絵をまとめて見せてくれるのです。色彩は観てすぐにわかりますが、大胆な嘘、はそう思って見ないと見抜けません。富嶽三十六景なのに、富士山どこ? みたいな絵もあります。でもそこがいいのです。
北斎はひねくれ者!?
葛飾北斎は、真面目な日本画の名手、ではなく、ひねくれ者で、あまのじゃくで、見る人を楽しませたい画家なんです。
そんなことが、たった1~2時間ですっかりわかってしまう、太田記念美術館の企画展。行ける方はぜひ行ってみてください。29日まで開催中。
わたしは乗り換え間違えて「表参道」の駅で降りてしまったので遠かったですが、「明治神宮前」か「原宿」で降りれば徒歩5分くらいで着きます。ラフォーレ原宿の真裏に位置しています。かなり人気の展示なので、朝一で行くか、平日をおすすめします!
それじゃあ、また明日!