こんにちは。ポポラマーマが鬼門のかんどーです。
ポポラマーマを知らない方のために、簡単にポポラマーマのことを説明します
ポポラマーマは全国チェーンのパスタ屋さんです。デパートやイオンなどにも積極的に出店し、地方の駅前にもあり、都心部にもあります。
「生パスタ」を使っていることが特徴です。乾麺でなく、日持ちのしない生パスタをゆでるんです。なので普通のパスタ屋さんや、自宅でつくるパスタと一味違う、モチモチとした麺の食感が楽しめるのです!
予約をして行くような高級店では「生パスタ」は当たり前にありますが、チェーン店で、しかも500円以内のメニューも出して生パスタを使うというのは、画期的と思います。
わたしがポポラマーマを初めて食べたのはハタチくらいの頃でしたが、唯一の親友(女性、今はもう付き合いがないです)と行き、そのうまさに悶絶しました。
「生パスタ……うめぇっ!!」
……人間の脳ってこわいんです。
一度「おいしい」って思ったものに、ものすごく執着してしまうんですよ。当時のわたしにとってポポラマーマは、食の最高潮をきわめたもののように思えたのです。
20代半ばでダイエット依存症になったことがありました。食事の量を極限まで減らしていました。イメージで言うと、コンビニのサンドイッチひとつが一食の目安という感じ。できればその一食も食べずに済ませたい。そのくらい絞っていました。
当時の仕事はクラブシンガーだったのですが、二軒目に働いたのお店のすぐ近くに「ポポラマーマ」がありました。わたしは当時「ポポラマーマがあると行ってしまう……食べてしまう……このクラブで働くのはやめようか」と真剣に悩むくらいに病的でした。
もちろん、狭き門をオーディション乗り越えて受かったわけですから、そんなに簡単にやめるわけにいきません。毎日、ポポラマーマをうらめしく見上げながらクラブに出勤していました。
……ある日。
練習しようと思って行ったのに、オーナーが打ち合わせでお店を使っており、練習できないことがありました。どこかで時間をつぶしてこなければ……。そのとき真っ先にポポラマーマが思い浮かびました。
ひさしぶりに訪れたポポラマーマは、場所は違ってもさすがチェーン店、メニューや店の雰囲気は以前親友と訪れたお店にそっくりでした。わたしは懐かしくなり、よだれが止まらなくなりました。メニューをめくって、わたしは悶絶しました! 塩気のきいたベーコン! 油を吸っておいしく光る茄子にキノコ! ああ、ポポラマーマがまた食べられる……!
なすベーコンしょうゆ味にしようか……それともこっちのトマトソースのパスタ……
いいえ……
よくばりペペロンチーノ、これしかないと思いました。
よくばりって良い響きです。そう、わたしは欲張り。太りたくないけれど美味しいものも食べたい。今日くらい笑ってパスタを食べさせてほしい。
注文する瞬間、わたしは心臓が高鳴るのを感じました。待っている間もずっとドキドキしていました。
よくばり……
よくばり……
湯気を立てた「よくばりペペロンチーノ」が運ばれてきたとき、わたしは待ちきれませんでした。ずっと食べていなかったパスタ。自宅で作ったのが最後だけれど、油をほとんど使わずに作ったのでちっともおいしくなかった。でも今目の前にあるパスタは絶対に美味しい! ギトギトに油をまとったパスタにベーコン! キノコ! ナス! おいしくないわけがありません。オリーブオイルなので胃もたれもない。
一気にかきこみました。何かに追われるように。やがてくる恐ろしい「後悔」という魔物から逃げきれるように急いで、急いで食べました。
すべて食べ終えると、5分も経っていませんでした。ああ、粉チーズをかければよかった……チリソースもかけたかった……でも、待てなかった……。
満腹なはずなのに、もっと食べたい、もっと食べたいと体が言いました。ガーリックトーストなどを先に注文してから食べればよかったと思いました。次はそうしよう、なんて考えている自分が怖かった。
その日のステージでは、歌の歌詞よりも「今の曲を歌って何キロカロリー消費したか」ばかり考えていました。話しかけられても「うるせえ」と思って睨み返していました。すべてが面倒くさかった。カロリー計算の邪魔をする奴は消えろと思っていた。
結局、そのクラブで働いている間は、空き時間ができるたびにポポラマーマに行ってしまいました。誰かと行くのは嫌でした。一人でガツガツワシワシとパスタが食べたかった。……食べている姿を見られたくなかったのです。
何度か通っていると、しょうゆ味のパスタも好きになりました。なすベーコンしょうゆ味。あとは「よくばりアラビアータ」も大好きでした。ステージは日に日に手抜きになり、頭の中は食べ物のことでいっぱいでした。
……この後もポポラマーマで恐ろしい魔物とたくさん出会いました。今日は長文となりますが、後半いきます。
ダイエット依存症とアルコール依存症を併発し、病みきっていたわたしだったが、やっと正気を取り戻した時期があった。人はものを食べなければ生きていけない、という当たり前の真実を受け入れ始めたころだった。
その頃、わたしはネット恋愛(おもに掲示板)というものを始めていた。ある町に住んでいたとき、ネットで知り合った人がいたのだが、どうやらお金がないらしかった。お金がない人に高いものをごちそうするのはかえって気が引ける。わたしは彼をポポラマーマに連れて行った。
寒い日だったので、ふたりでスープパスタを頼んだ。彼が和風カルボナーラの豆乳スープ、わたしはトマトソースのスープパスタを頼んだ。
カロリーの関係でわたしはトマトにしたのだけれど、一口もらったとき、彼の豆乳カルボナーラが美味しすぎて頭がショートしそうになった。ただでさえおいしいクリームパスタのスープがなみなみと入っており、さらに半熟たまごが一つ落とされている。卵の黄身とクリームスープのあわさったところの美味しさと言ったら……!! ああ、あなたは帰宅してもいいからこのパスタをわたしにちょうだい……!! 心からそう思った。彼<クリームパスタだった。
彼の住んでいた地方にはポポラマーマが無かったらしく、「うまい」と言いながら食べてくれた。チェーン店だとはあえて言わなかった。わたしにとって特別なお店なのだから、そこがチェーンだろうと個人店だろうとどうでもいいと思っていたからだ。
そこで食事をして、周辺を散歩して、わたしのうちに行った。もちろんやることをやるために。
20代後半になり、体の線が多少崩れていても男はさほど気にしないことを知っていた。わたしは壁の薄い部屋に男を連れ込み、毎夜男と交わっていた。ポポラマーマに連れて行った彼もその日のうちにわたしを抱き、そのままわたしの部屋に住みつくようになった。
そのうちに男が働かなくなり、酒におぼれ始めた。絵に描いたような男で笑った。わたしは30万をコンビニでおろし、男に手渡し「別れて」と言った。男は30万に威圧されたのか、わりとすんなり出て行ってくれた。実はその後も何度か家に来てしまったりしたのだが、警察を呼んだり、かなり大変な思いをしてこの男との縁を切った。
男が出て行ったあと、わたしはランニングに精を出した。家電量販店で働いて、夜はランニングをする。この生活をしていれば悪いことは起こらない……願いを込めて生きていた。
しばらく経って、わたしは一人でポポラマーマに行った。季節は冬だった。体が温まるメニューを探していたら、なつかしいスープパスタがあった。
まずはこっちを食べた。
ツナとベーコンのトマトクリームスープ。
これは安定しておいしい。でも、さっぱりしたおいしさなのだ。あと、数年前はトマトクリームではなく、ミネストローネのようなスープパスタだった。やっぱりクリームの魔術に人は抗えないのだろうか……
この日から3日とあけず、わたしは再度ポポラマーマへ行った。
そして念願の「和風カルボナーラ豆乳スープ」を食べた。
……この日食べた和風カルボナーラ豆乳スープは、自由の味がした。
もう誰からも支配されなくていい。食欲に支配されなくていい。毎日走っているのだから好きなものを食べても太らない。
ここで、わたしの生活は固まった。人が走らないくらいたくさん走って、ふつうの人と同じ量を食べる。この生活こそがわたしの生活だと思った。
……確かあともう一人、誰かとここで何かしたような気がするのだが、どうしても思い出せない。思い出したらまた書くことにして、今日はここで筆をおきます。
あ! 今でもポポラマーマ大好きですよ!
ちなみに生パスタで、いちばん好きなお店はここです。
千葉のららぽーととか、都内の仙川にある「パスタフローラ」!ここ生パスタが美味しいの♡
パスタフローラ Pasta Frolla|生パスタ、ナポリピザ。
お前が言うなって感じですねw
それじゃあ、またw
★今日の過去記事★
これはガチです。
パスタの記憶は恐ろしい……
最近、好きなものを別のものにたとえて表現することが好きです。