接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

☆書評☆鈴木大介著 「家のない少女たち」

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こんにちは! 仕事は接客業、趣味はランニングと読書の貫洞です!


無事タイから帰国しました。飛行機に7時間くらい乗りましたので、2冊本を読みました。そのうちの一冊がこちら。


鈴木大介著 「家のない少女たち」

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以前、鈴木大介さんの「最貧困女子」も読みましたが、こちらもメチャ衝撃的でおもしろかったです! 



さて「家のない少女たち」。

これは主に虐待や育児放棄などで家庭に居場所がなくなり、家出を繰り返す少女達のことを指します。こういう少女達のありがちストーリーとしては、

家出→ネットカフェ→売春

ですよね。確かにそうなんです。しかし鈴木大介さんは少女達にもっと切り込んでいくし、さまざまな境遇の少女がいることを自らの取材で浮き彫りにしていきます。

以下、少々キツイ表現が続きます。食事中の方などはお控えくださいませ。




☆☆☆




監禁された少女たち

真夏にもかかわらず、プレハブに冷房はなかった。喉は渇くが、部屋に据えられた小さな冷蔵庫の中には、缶ビールしか入っていない。それを飲むしかない少女らは常に酔っ払っていた。

「もう、許してください。なんでもしますから、帰してください」
泣きながら懇願すると、
「バーカ、これでも吸っとけ!」
男に投げつけられたのは、トルエンの入った瓶だった。

食事はカップラーメンのみ。部屋にはテレビがあるが、そのテレビで「自分のレイプ映像」を見せられ、食べていたラーメンを吐いたこともある。酒とトルエンに判断能力を奪われたまま、週七日、一日平均五人の客をつけられ、結局「百二十人は余裕で相手させられました」


ジャンキー少女 

「援交は、なんでやってるの? 借金?」
「そう。借金あるんですよ、結構」
「それってなにで作ったの?」
「前にネタ(ドラッグ)いっぱい引いた(買った)んですよ。それで……」

綾香は、ドラッグを購入するために作った借金を返すために援交し、その援交の苦しさを紛らわすためにMDMAを食い続けるという、超悪循環の家出少女だった。


オジサンもっと、ギュッとして
堅くなる優紀子を、小太りのオジサンはギュッと抱きしめてくれた。セックスの経験は随分あったが、その「ギュッと」は優紀子が初めて知った感覚だった。

「処女じゃないよね」
「まさか(笑)。てゆうかさ、もっとギュッとしてよ、もっと」


ものすごく印象に残った部分だけを抜粋しましたが、一人一人の少女の家庭環境、受けてきたいじめなどの話もすべて読んでほしいです。本当に一人一人違うんです。軽度の知的障害の少女もいれば、頭がよく聡明で、親からの期待が変な方向に進んでしまい、家を失った少女もいます。


著者の考え方がにじみ出る一面もありますが、あくまでルポとして仕上げているので、どこに着地させようという魂胆や政治的なものは一切ありません。(ルポとはまったく別のところで著者が行政に対してこう思う、と表現する箇所はありますが)


裏社会ものは本当に興味深いです。

ものすごくショッキングで、それでいてジンワリ泣けたり少女を応援したくなったりする本でした。救いが無い…と無力感に苛まれることもありますが、それもひとつの
「真実」なのです。


【個人的所感】
一気読み度・・・★★★★★
エンタメ度・・・★★★★☆
社会派度・・・★★★★★
女性向け度・・★★☆☆☆
泣ける度・・・★★★☆☆
笑える度・・・☆☆☆☆☆※笑えません…
考えさせられる度・・★★★★★追加でさらに★10個付けたい

※最貧困女子よりさらに一気読み度が高いです。ルポものをあまり読まない方はこちらから読んでもいいかも。

 

 


ルポ本の面白さに目覚めてしまいました。小説も結局は作者の歩んできた道が透けて見えるところがすきなんですけど、ルポ本はまさしく作者と取材対象の生のぶつかりあい、ふれあいが見えるから面白いですねぇ。


では、また♪