こんにちは。ふだんはあけすけな記事ばかり書いているかんどーです。
しかし今日は、今日ばかりはまじめに本のことを書きたい。本当に面白い小説を見つけたから。わたしは月に数冊は本を読むけれど、全部の感想は書かない。自分の中でそれぞれの小説に愛着を持ち、それで終わることがほとんどだ。
だが、この作品はある分野に興味のある人に絶対に読んでほしい。そう思った。
近藤史恵著
「砂漠の悪魔」
このタイトルが何を意味するのか、最後まで読み切ってほしい。最初の数行を読みだせば、すぐに物語は転がっていく。気づいたら300ページ強のこの本の序盤を読み切ってしまうだろう。
物語が転がりだすと、舞台は中国へと移る。中国といってもいわゆる「爆買い」する中国人のイメージは完全に捨て去ってほしい。全然違う中国の一面を切り取っている。簡単に言うと、北部だ。
少し前に、縁あって中国北部の料理を食べた。その料理に詳しい人が「中国北部の料理といえば、羊の肉だ」と言っていた。そのときはただの世間話だったのだが、この小説に、まさしく羊の肉の串焼きが登場する。独特のタレがかかったスパイシーな羊の肉を、ジュワっと音を立てて主人公がかぶりつく。主人公の隣には個性的な友人が登場している。
そういう中国の食べ物の描写一つ一つさえも面白い。
しかし、この物語の真骨頂は、ここには書けない。
正直、こんなに小さく始まった物語がこんなに大きなうねりと展開でもって読者を引き込んでいくのにびっくりした。社会問題あり、中国の国内における人種の問題あり、そして…。
主人公は普通の大学生だ。ただ、ちょっと性格が意地悪だった。そのためにトラブルに巻き込まれ、ある事情から中国大陸へと足を踏み入れる。たまたま大学で専攻していたのが中国語だというのもあり、物語はどんどん進んでいく。
読みやすい小説が読みたい人
中国のことに少しでも興味がある人。
世界情勢に興味がある人。
危険なことに興味がある人。
外国の生活を文章で味わいたい人。
こんな人に読んでもらいたい作品です。
正直、わたしは近藤史恵さんの作品は、自転車ロードレースものが好きでずっと読んでいました。(ミステリー作品も読みましたが)取材能力がすごいのか、「弱虫ペダル」が流行る前から、自転車ロードレースに興味を持たせてくれたのが近藤史恵さんの小説。
疾走感あふれるスポーツの中で、人間関係やドーピング問題などを扱っていくストーリーで、読者を飽きさせない作品なのですが、今作はまったくそれらとは風合いが違う!
近藤史恵さんの作品だ、と言われなければわからなかったかもしれない。そのくらい目新しくて、衝撃的で、鳥肌が立った。
書店で見かけたらぜひめくってみてほしい。
通勤時間で読むと、電車乗り過ごしますよ。わたしは昨日、反対方向の電車に乗ってしまいました。それすらどうでもいいくらい、物語にのめりこんでいました。1日で読み切ってしまいました。
最高でした。
一読の価値ありです。
それじゃあ、また明日。
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