こんにちは、かんどーです。
実はこのブログで官能小説を紹介したことが、まだありません。今日は初めて一冊紹介してみようと思います。女流作家さんの小説で、特に女性におすすめです。
うかみ綾乃著「指づかい」
きれいな官能小説。
そんな言葉で表現できる一冊です。まず、冒頭で女性の描写がされるのですが、この女性がすでにきれい。
息を呑むほどに美しい女だった。鼻梁が高く、華やかに整った横貌。長い睫毛に縁取られたアーモンド形の目。頬はふっくらと愛らしく、可憐な唇は、それでいて毅然と結ばれている。どこか一点を見つめながら、女は群衆の中で、いかなる無礼も許さないとの凛としたオーラを放っていた。
性の描写も、けして男性よがりでない、女性がセックスを楽しむ描写が多い。しかしちゃんと女性が快感を得る描写もあって、もう、満足としか言えない。短めに引用します。
張り詰めた根幹を、ふたたび唇に包んだ。薄布越しに、男の精と汗の匂いがした。深呼吸した。静かに深く匂いを吸い込み、肺を満たした。
肉芽と、その下にある淫裂が、一本の指で塞がれていた。指は間断なく微妙な振動を寄こしてくる。肉芽と淫裂、どちらがどう弄られているのか、この峻烈な快感の中では区別がつかない。
この本は、ぜんぶで6章から成っているのですが、1章ずつ別のストーリーです。しかし6章通して共通する登場人物もおり、一冊の本としてストーリーを追いかける楽しみもきちんとある。
1章ごとに、誰にスポットライトを当てるのかが変わるのですが、世界と時系列は一貫しています。そこが読みやすいところ。しかし、登場する女性によってセックスの仕方も異なれば、女性にとって大事な「セックスに至るまでの会話、導入部分」もまったく異なってきます。愛撫の仕方も。愛し方も。反応も。セックスに対するとらえ方も女性それぞれで異なってくる。
好みの導入、好みのシチュエーションがきっとあると思います。
高飛車な女が男の腕の中で我を忘れて女になってしまう。彼氏との関係がうまくいっていない女性が、救いを求めて別の男性に抱いてほしいと言ってしまう。せき止められていた性があふれ出す瞬間が、どの章にもあって、その一つ一つがとても印象的なのです。
久しぶりに普通のセックスする官能小説を読みましたが、素直に良かったです。日常生活の延長上にある性ってとてもいやらしい。
表紙もそんなにヘンじゃないですし、エロ本には見えないです。わたしは通勤電車の中で読んでいましたが、変な目で見られることはありませんでした。
変態度数は低いですが「寂しさを埋めてくれる」「愛情と肉欲の倒錯」による濃厚なセックスです。登場する男もなかなかイイです。タイトルの通り、指先の器用な男性ですね。
ご興味があればぜひ読んでみてください!
それじゃあ、また明日!
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