接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

西村賢太「けがれなき酒のへど」読了

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こんにちは、かんどーです。


とてもバタバタしてしまって、桜桃忌当日になにもできなかった。でもわたしは生きると決めたときから、坂口安吾の言葉を反芻するように生きています。

安吾の言葉はけして軽くないのですが、安吾は目に映る世界を意図して軽く描こうとしていることがある気がします。特に、根深い闇を抱えた人物に対し、軽いチャラチャラとした態度、はすっぱな態度、斜に構えた態度を薄っぺらな感じで描写します。わたしはそこに人間のはかなさを感じ、時代を超えて安吾と共鳴している気持ちがするのです。


太宰については、体も心も膣まで共鳴しきって、それなりの場所まで落ちましたので語れません。過去のブログでいろいろ晒しています。


これとか。 

www.kandosaori.com

 


これとか。

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あとはこれかな。

 

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さて。前置きが長くなりました。



西村賢太著「けがれなき酒のへど」

 

けがれなき酒のへど 西村賢太自選短編集 (幻冬舎文庫)

けがれなき酒のへど 西村賢太自選短編集 (幻冬舎文庫)

 

 

西村賢太作品だと「苦役列車」が映画化されましたので、記憶にある方も多いのではないでしょうか。わたしは「苦役列車」は映画から先に観ました。たまたま観たんです。それで、あれっ、この作品って原作何? と思って調べたら、西村賢太。芥川賞作家ですね。


この後調べたら、西村賢太は原稿用紙にペンで小説を書いていることだとか、結構な変わり者であることとか、細切れの情報が拾えました。もっと拾ってもいいんだけど、それより全部の作品読むことが先と思っています。


西村賢太の作品の中に「北町貫多(きたまち・かんた)」という人物がしばしば登場するのですが、これはまさに私小説を小説に仕上げたことの足跡。貫多の荒んだ退廃的な生き方は、著者の心の中にある歪みや鬱屈した感情なのだと思わされます。こんな小説が現代で読めるなんて、わたしは幸せだと思いました。


西村賢太はまぎれもなく今、この世界を生きています。学歴、どんな人物かは本を読みつつ探ってみてください。あの「うわあ」感はわたしがこんなところで公開するものじゃない。作品を手に取って、いいなと思った瞬間に知ってほしいのです。



ちなみに、「けがれなき酒のへど」は自選の短編集です。またこの短編の濃さが、ひと昔前の文豪を思わせる本のつくりになっていて、坂口安吾の作品を全部読んでしまって再読を考えていたところへ舞い込んできた、西村賢太。

ブログの世界でもわたしは退廃的な文章を書く人がすきなのですが、本の世界でもおなじです。退廃的なのがいい。人間として、底辺の土をすくうように生きて、それでもなお渇望する本能的な性のことなんかが書いてあるとなおいい。男の人の性欲は、素直に出しちゃってほしい。隠したり「メシ」という言葉の裏に隠さなくていい。ただセックスしたいと言ってほしい。お前の中にぶちこんでやりたいと本能のままに組み敷いてほしい。


…まあ、西村賢太の本を読んでいても、女性の性欲はあまり刺激されないかもしれません。男性を知る、という意味では面白い。


本の世界はとても広くて、目の前に大きな大きな草原や密林やドロ沼が見渡す限りに広がっているようです。今日もわたしは、草原や密林をさんぽしてきます。


いつかどこかの密林で果実をもぎとりたいと、中年のくせにメラメラと小さな炎を燃やしながら。バカは死ななきゃ治らないんですよ。



たまには沼にとっぷりとつかってみるか、と思われた方には、西村賢太の作品をおすすめします。まずは「苦役列車」が一番読みやすいと思います。これから、西村賢太の作品もちょくちょくレビューを挙げていきますね。


それじゃあ、また。