接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

【寄稿:千日太郎さま】愛があれば連帯保証人になれるのか?

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こんにちは! 今日は少しテイストの違った寄稿をいただきました! もう3年近く、ガンガン更新している方なのでご存知の方も多いかと思いますが、「千日のブログ」の千日さま(id:sennichi)より寄稿いただきました!(ほんと今回の寄稿企画楽しい…)

 

千日さまのブログは、住宅を購入するか迷ったときに参考になるような、いわゆる「お役立ちブログ」なのですが、実はチョイチョイ……はさまれているんですよ。下ネタが。おいおいここにこれ突っ込むかっていうね。

 

たぶん中の人がガチでエロいんでしょう。マジメそうなアイコンにしたってバレるぜ?

 

 

以下、寄稿記事です。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

前編(連帯保証で家を買うか悩む妻目線)

  

 

『今回の住宅ローンは夫婦の収入合算なら可能つまり奥様に連帯保証して頂くことが条件です』

 

銀行の融資担当者は表情の無い顔で言った。つまり、夫の収入だけでは返済出来ないので妻の私に連帯保証人になれということだ。隣の夫が小さく息をのみ何かを言いかけたが、私はそれにかぶせるように言った。

 

『わかりました、考えてみます。』

 

ものごころついた時には母はいなかった。私はおばあちゃんに育てられた。少し前に流行った『トイレの神様』という歌があったが、私の場合はそんな心温まるものではなかった。母親は父に愛想を尽かして出ていったのだという。

 

『駅から家に帰るまでに他人の土地を踏んだことが無かったんよ。 

 

かつて大地主だったころの話、良く聞かされたおばあちゃんの口癖だ。だが私が知っているのは、線路脇に接するように建てられた暗い6畳と4畳半の二間続きのアパートだ。電車の窓から跳び移れば、他人の土地を踏まずに帰ることは確かに不可能ではない。ただ、このアパート自体が賃貸だから他人のものだ。

 

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当時の女の子達の間で流行っていたシルバニアファミリーのドールハウス、友達の家で人形を家族に見立ててごっこ遊びをした。お父さん、お母さんに子供たち。ドールハウスで遊んでいる間はその世界に浸ることで現実から解放された。一度、ダメとは思いながら父にドールハウスをねだったことがある。 

 

『そのうち父ちゃんがホンモノのお屋敷を建ててやるからの。』

 

その父がある日買ってきたのは黒塗りの外車だった。おそらく高級車だったのだろうが、幼かった私にはまるでドラキュラ伯爵が入る棺桶のように見えた。

  

『お父ちゃん、この車で天下獲ったるからな。』

 

それが私の父に関する最後の記憶となり、月日は流れ、成人した私はどこか父に似た男と結婚し一児を授かった。夫の給料だけでは貯蓄が難しかったので産休が明けてからすぐに仕事に復帰した。保育園への送り迎えをしながらの時短勤務である。子どもが熱を出すと保育園では預かってもらえないので、職場に連絡して急きょ休みをもらわねばならない。

 

正直、母親としてちゃんとできている自信はない。何度か熱があることが分かっていながら、保育園に預けてきたことがある。そのたびに保育園から電話がかかり呼び戻された。ひどい母親だと思うだろうか、別に否定はしない。母親というものがどんなのものか知らない私にとっては、仕事をしている方が性に合っているのだ。

 

そんな休日に親子3人で買い物のついでにフラッと立ち寄ったあるハウスメーカーのモデルハウスは、幼いころの私が想像の中で入り浸ったドールハウスがそのまま等身大の大きさになったような、私の夢そのものだった。

 

どうしても、手に入れたい。しかし、連帯保証という条件が口の中に刺さった小骨のように引っ掛かった。後に知った母が父に愛想を尽かせた理由、そして父の失踪した理由が連帯保証人になったことで、支払能力を遥かに超えた負債を負ったことだったからだ。

  

連帯保証人になるというのは「主債務者ではないけど主債務者と同じ責任を負う」ということだ。

 

✓先に主債務者に請求してくれなんて言えない

✓主債務者に財産が残っていても連帯保証人は請求を拒めない。 

✓債権者は連帯保証人の方が回収しやすいと思えば、主債務者を無視して連帯保証人に全額請求することもできる。

 

sennich.hatenablog.com

 

 

夫は私の幼少時代のことを知っている。『連帯保証という条件ならば止めよう』というのが彼の意見だった。しかし私はどうしてもあの家が欲しい、夫とならば連帯保証だろうと何だろうと問題ない。夫はいつも私と子どものことを一番に考えてくれている。銀行で夫が融資を断ろうとしているのは分かっていた。だからこそ私は夫が何か言う前に遮ったのだ。でも…本当にそれでいいのだろうか?そんな私が相談できるのはあの人だけしかいなかった。

 

職場の女性部長である。今でこそ女性の管理職は珍しくないが、旧態然としたうちの会社では唯一の女性管理職。しかも中途入社からの叩き上げだ。普通ならヒラの私などおいそれと話せる相手ではないのだが、なぜか私を妹のように可愛がってくれる。目標でもあり、憧れの女性なのだ。

 

彼女なら過去に縛られず、ズバリ合理的な意見を言ってくれるのではないだろうか?

 

普段は忙しくしていて、昼食を食べる姿を見るのもまれな彼女だったが、ランチに誘うと快く応じてくれた。

 私は自分の生い立ちを含め、これまでのことを全て女性部長である彼女に話した。

 

 『すごく気に入った家ですし夫婦で協力すれば、ちゃんと払えると思うんですけど連帯保証ならやめておいた方がいいと思いますか?』

 

 それまで伏せていた女性部長の目がすうっと開き、私を射抜くように見た。そして、一旦遠くを見たあと立ち上がり、彼女は語り始めた。

 

 

 

後編(女性部長目線) 

 

職場の部下の女の子にランチに誘われて思わぬ相談を受けた。女の子、なんて私が彼女の年頃だったときには最も忌み嫌った呼び方だが親子ほども年の離れた彼女たちを見るとまるで娘のように感じてしまうのも確かだ。

 

私に娘がいることは、今の職場ではほとんど知っている者はいない。

 

『ウチは中の下』

 

母は自分達の経済レベルをしてこう評していた。確かにそれぐらいだったように思う。しかし、教育に熱心だった父は私を私立のお嬢様学校に入れようと自ら娘の勉強を見る熱血漢だった。学習塾に通わせるお金が無いという理由もあったのかもしれない。

 

そして入学した私立の女子校にはそれまでの私の想像を超える別世界があった。少女漫画でしか見たことの無いようなお屋敷に住むクラスメイト。自分の貧しさをまざまざと知らされることとなった。

 

母の言う中の下は、ここでは下の下だった。

 

私はそのまま4年制の大学への進学を希望していたが、折悪く円高による不景気で父が会社をリストラされ、元の会社から紹介された会社に再就職できたのは良かったものの、収入は減ってしまった。私は経済的な理由から4大への進学をあきらめて短大へ進学することとなった。今にして思えばそれでも良くしてくれたと思うのだが、当時の私はそうは思えなかった。

 

父は真面目を絵にかいたような実直な人物だったが、無口で要領が悪い。そんなだからリストラになるんだ、とんだとばっちりだと思っていたし、真面目だけが取り柄のような父を、男としても面白味に欠ける、物足りない人間だとさえ思っていた。

 

父のような男とだけは結婚しない。

 

当時は短大卒の学歴で出世するなんて考えられなかった。一般職でも大きな会社に入って、将来性のある男と結婚する。短大へ進学してからの私の目的はその一点だった。私は短大をトップの成績で卒業し、学校の推薦枠で名前を聞けば誰もが知っている一部上場企業に就職を果たした。

 

二十歳で社会に出た私だったが、同期入社の男は子どものようにしか見えなかった。ほどなくして13歳ほど年上の男性と出会った。優しくて包容力があり、お金の使い方も羽振りが良く、実家は地主でお金持ち。私にとってはこれ以上無い条件の男だった。彼には当時付き合っていた女がいたが略奪に成功した。

 

申し分の無い相手だったはずだが、なぜか母は彼との結婚に難色を示した。

 

私たちは半ば強引に結婚し1年後、私は女の子を産んだ。そのころにはすでに彼の優しさも、包容力も、羽振りの良さも、全てが虚栄であることが分かりすぎるほど、分かってしまっていた。

 

身の丈に合わない高価なものを『お前のため』『娘のため』と次々に購入する。さしたる理由もなく友人達にお金をばら撒く。とうに自分の収入以上のお金を使い、借金をし、それでも行いは変わらず、夫の実家の権利書さえ無断で持ち出して担保に入れてしまった。家に借金取りが来るようになり『この奥さんなら結構稼げるんじゃないの?』と言われたときには、本当に恐ろしかった。

 

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 それでも離婚しなかったのは、娘が居たからだ。それに母の反対を押し切って結婚した意地もあったかもしれない。

 

『頼む連帯保証人になってほしい。でないと俺は…』

 

夫からこう切り出されたとき、私の中で何かが、プッツリと音を立てて切れた。

 

 

 

『別れてください』

 

 

 

同世代の男は子どもみたいだ、なんて思っていたが、一番の子どもは私の方だった。母に言われた言葉は今でも覚えている。

 

『あんたはお父さんみたいな人と結婚したくない、こんな申し分の無い相手はいないって大見得切って出ていったのよ?どの面下げてかえってきてるの!』

 

ああ、私はそんなことも言ったんだ。私は娘から母親を奪った女なのだ。どんなに罵られてもこの罪は無くならない。私が娘の親権を放棄し、初孫と会う機会を大幅に奪われて半狂乱になって喚く母の隣で、その時も父は黙っていた。

 

『…あの、部長?』

 

『ああ、ごめんね…そうね、絶対その家でないとダメなものなの?あたしからすると、そうやって家庭を持って、子どもを育ててるだけでも凄いと思うんだけど。エライよ、ほんと。』

 

私は持てなかった。

 

『それとね、小さい子どもが熱を出したらお母さんはそばにいてあげた方がいいよ。会社の仕事は一人でやってるんじゃない、どうにかなるもんだよ。アナタが要らないってことじゃないよ、頼りにしてます。でも今、それより必要とされてる所があるってこと。』

 

私はなれなかった。

 

『…泣いてるんですか?』

 

『ごめんね、歳かなアハハ』

 


愛があれば連帯保証人になれる? 毎年結婚するカップルの3分の1が自分達の交わした永遠の愛をリセットしてる。でもリセットしても消えないのが借金で、それが怖くて自分だけ逃げる女もいる。それは、あなたも身をもって知ってることでしょう? 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

いかがでしたでしょうか。
それぞれの思惑が脳内に残る、問題提起記事です。

 

千日さまは、住宅や住宅ローンの話を普段書いておられます。しかし、住むのは人で、暮らすのは家族です。買うのは家ではなく「生活」「人生」なのです。結婚したら家がほしいと願う方も多いでしょう。わたしももし旅をすることに飽きたら、小さな家を建てて家庭菜園をやりたいです。大きな犬を飼って、犬にもたれるようにして昼寝がしたい。

 

千日さまの記事中では「連帯保証」がとても重いもののように描かれていましたが、わたしは実はそんなに重いと考えていません。連帯保証、いいじゃん。いっしょに背負えばいいじゃんって思ってます。一緒に暮らすんだし。

 

 

……この答えを千日さまへの寄稿記事として仕上げようと思いました。わたしの記事はこちらです。

sennich.hatenablog.com

 

 

さて、今回寄稿頂いた千日太郎さまのブログはこちら!

sennich.hatenablog.com

 

アイコンがリアルすぎてちょっと怖いですよね。ってか金髪なの!? 金髪先生って呼んでいいですか? え、だめ? まあだめですよね。。

 

 

これからもジャンルは違えど、同じはてなブロガー同士、適度なエロを交えて楽しくブログを続けていきたいですね! 先生!

 

それじゃあ、また!