接客業は卒業したよ! あけすけビッチかんどー日記!

接客業歴15年のかんどーが綴る、あけすけな日記。人生はチキンレースです。一歩引いた方が負け。たまに小説を書きます。お問い合わせはsaori0118ai2あっとまーくやふーめーるまで。

三つ子の一人を殺してしまった母は裁かれ、助けなかった夫、周囲、行政は裁かれない話

スポンサードリンク


こんにちは、かんどーです。

三つ子の育児を一人で背負いこんで、とうとう一人を投げ落とし、その子が死亡してしまった痛ましい事件をご存知でしょうか。

 

 

www.asahi.com

 

この記事を要約すると、こうです。


・愛知県豊田市在住の30歳の女性が、※不妊治療の末に三つ子を出産
・三つ子の育児でミルクは一日24回、次男はよく泣く子であった
・毎日の睡眠時間は1時間を切り、とうとう次男を床に投げつけてしまう
・次男の容態がおかしいことに気づき、自分で119番通報
・その後病院で次男死亡
母親「だけ」法廷に立たされ懲役3年6か月の実刑、執行猶予無し
※不妊治療をすると多胎児が生まれやすいと言われています


世論的には「この母親の状態になったら私でも同じことをしていたかもしれない。執行猶予をつけてあげて」だそうです。


はあ? 執行猶予なんかつけたらこのお母さんは「犯罪者」「息子殺し」の烙印を押されたまままた寝られない日常に戻らなきゃいけなくなるでしょ? いつ寝るのっていう基本的な話なんだから。わたしの考えはこうです。


刑務所の中でゆっくり眠って、まずは人間らしい精神状態を取り戻してほしい。


そして、この事件の世論がどんなものだったかを裁判所は何度も考え直させられる機会になるといいと思います。まあ20年変わらないでしょうけど。


この事件の容疑者となってしまった女性に伝えたいことがあります。


裁かれない、石を投げるだけの人の言うことなんて聞く耳をもたなくていいということです。そもそも不妊治療をしてでも子どもをさずかりたいという、素晴らしい考えのもとに行動している女性です。

記事を読み込むと、

・夫は育児休暇を取得したが、おむつ替えなどがうまくできず妻を苛立たせた
・やがて妻は「夫には頼れない」と思うようになった
・実家は飲食店を経営しており、育児の手伝いは求められなかった
・行政へ助けてと言っても「まずは面談、それからこの申告書を書いて」の一言
・具体的に助けた人は一人もいない

この地獄絵図が見えてきます。


この地獄絵図には、裁かれない人が何人も登場します。


まず夫ですが、戦力にならなかったのは仕方ない。それならそれで、育休を取得している間に何とかこの三つ子を預ける場所を探すなり、助けてくれる人を周りに集めるなり、動くべきだったのではないでしょうか。

戦力にならないまま育休期間を終え、そのまま仕事に戻って行ったそうですが、オマエは育休終わったからと仕事に逃げられても、奥さんはずっとそのままの状態、それで大丈夫だとどうしたら思えるのでしょうか? これは殺人ほう助に値するとわたしは思っています。
でも日本の法律では、この夫は裁かれません。


次に実家。自分の娘がどういう状態かわかっていても「大丈夫、一人でがんばるよ……」と言わざるを得ない状態を作ってしまっていたと思います。心から心配していたにせよ、状況をわかっていたのに何もしなかったのは事実。もしわたしが自分の娘が三つ子を産んでこの状態であったら、行政機関へ一緒に、もしくは代行で出向いて怒鳴りつけたと思います。どうにかせーよ! うちの娘、人間の暮らしできてないよ! と。

日本の法律では、この親も裁かれません。


そして行政機関。三つ子を抱えたお母さんから電話があった際、「これは虐待につながりそうだ、まず訪問しなくては」と最優先事項として扱わなかった。それどころか「解決策を何も提示せずに帰した」んですよね。これは職務放棄です。

しかし、他の部署との連携がうまく行かなかったとかなんとかいえば、
日本の法律ではこの行政機関も裁かれません。



わたしはこの1年くらい、子どもを産み育てる計画を立てていましたが、このニュースをみて愕然としました。日本では子どもを産んでも誰も助けてくれず、石を投げつけてくる人しかいない、と思いました。

泣けば「ウルサイ」。あやさなければ「母親のおろおろ感無しに問題あり」とか無関係な芸能人に言われ。ベビーカー優先のエレベーターに我先に駆け込む出張スーツケース族。(スーツケースはベビーカーより優先されることはありません!)



完全におかしいのですが、そんな中でも「こういう選択肢があればどうにかなるのでは?」とわたしが思う解決策を書いておきます。


まず、お腹の中に1人であれ2人であれ3人であれ命を授かった際、すでに行政が関わっておくべきです。「この人は育てていけるだろうか?」と。夫婦関係はどうなのか、シングルで育てることになるなら、産み育てている間のお金は大丈夫か、などを細かく調査していくのです。

これにより「育てきれない」と判断された家庭もしくはシングルの世帯に対し、行政が動くことが求められると思います。

たとえば自営業だと産休、育休制度がなく、その間無収入になる可能性がある。実家とも疎遠、保育所は激戦区……という状態であれば行政からたとえば保育所の空きがある区域への引っ越しを速やかに誘導するとか。(引っ越し!? と思うかもしれませんが子どもができて引っ越しするのはわりと普通なので、保育所に入れられる前提の地域への引っ越し斡旋はアリです)


そして、多胎児を出産することになったお母さんには選択肢が与えられるべきです。

・2人、3人全員を自力で育てる
・1人を育て、あとは施設に入れる
・そもそも多胎児出産で体力が落ちるので出産後は行政のサポート施設に入る

このような選択肢です。


まず、ろくに周囲のサポートが受けられないとわかっている場合「2人、3人を一人で育てる」という選択肢ははっきり言って消えると思います。その際、まったく罪悪感無く「一人だけ育てます!」と選べる環境が必要であると思います。

施設に入れるなんて! というのは施設は「わるいお母さんが捨てた子どもが入る場所」というイメージがあるからで、多胎児の場合はきほん施設に入る、という前提があれば施設のイメージは悪いものではなくなるはずです。

現状「施設に入れる」というのは極論、一人でがんばっていたお母さんが心より先に体を壊して倒れた場合だけです。つまり、倒れない限り助けてくれない。ボクシングかよと思いますよね。意識を失わない限りはお前育児やってろよ、というのが今の行政です。

「行政のサポート施設」については、老人ホームをイメージしていただけると良いと思います。場所にもよりますが、三食ごはんが出てきて、ただ生きてるだけで誰にも文句を言われない場所です。病気があればそれにあった対応やお薬を飲む時間まで介護士さんが見てくれます。

多胎児出産をした後のお母さんこそ、三食ごはんが出てきて子どもの面倒も周りで見てくれるような、そういう施設が必要なのではないでしょうか。


f:id:keisolutions:20190322023158p:plain



今の日本は、法治国家もとい放置国家です。自分が裁かれない案件であれば放置するのが基本になっています。


近所でずっと泣いてる子どもがいたら「どうしたのかしら」と声をかけにチャイムを鳴らすこともない。顔色の悪い人が街を歩いていても誰も声をかけない。行政機関は「お役所仕事」を淡々と続ける人もいる、玉石混合の機関になってしまっている。

お役所仕事については、どうがんばっても給料は一緒であるとか、公務員としてこうあるべき、とかの公務員論にもつながりますが、それはまた別の機会に。とにかく行政が「優しくない」国であることは確かです。



そして、今回の事件において法廷に立つのはなぜ、母親一人だったのでしょうか。

母親が法廷に立っている間、父親は再度育休を取得し、残る二人の育児をしていたのでしょうか。誰が助けたのでしょうか。

刑務所に入ることになってしまった女性を、あたたかく待っている人は誰なのでしょうか。



「私は裁かれない」と思っている人間には悪ではなくとも、昔の村八分に近い意地悪な感情があるとわたしは思っています。ほんとに優しい人は、自分が裁かれる裁かれない関係なく、自分の意志で「何かしようか?」と声をかけるものです。

何もしないで人が人を殺すのを見守っていた自称家族の方々は、裁かれないことをいいことに、何もしないで自分の生活だけを守っていたのでしょう。

そして行政も、自分が見殺しにしても裁かれないとわかっていて、お役所対応でつき返した。これが人殺しでなくてなんなのでしょう。

 

 

あなたが三つ子を授かったら、助けてくれる人はいますか?


夫は、家族は、助けてくれる人ですか?


今の行政がどうであったら、あなたは三つ子を「ちゃんと育てられる」と思えますか?



今「産もう」と考えている人は、上記を再度考え、万一多胎児を授かった際、結局誰も助けてくれない世界であることを認識し、出産より先に社会を変える活動をするべきだと思います。

20年くらいそういう活動を続けて、20年間出生率がゼロになれば、行政(笑)も動いてくれるのではないでしょうか。


わたしは出産することをやめます。


いろいろ考えた結果、万一多胎児であった際育てきれないと自分でわかったからです。夫となる人にも両親があるし、わたしの両親とて双方元気というわけではない。つまり「頼れなくなる可能性がある」と思ったわけです。

保育園についても100%入れるものではないので、そんな運任せみたいなものに自分の仕事人生をまかせられません。「保育園に入れたら仕事に復帰できますよ」ってなんですかそれ、何かのギャンブルですか。クジかなんかですか。

偽装シングルマザーにでもなって保育園を争奪すればいいんですか。嘘をつけというんですか。良心のある人が保育園に入れないってどういうことですか。


うまくやりなさいよという人もいるかもしれませんが、嘘をついてまで「うまくやる」なんてわたしにはありえません。


空から三千万降ってきたら子どもを産むかもしれません。それだけあれば多胎児であってもお金を払ってベビーシッターを使ったとしても、6歳まで育てられるという見込みが立つからです。

それをみすみす捨てて、誰も助けてくれない場所へ行く必要性を感じなくなりました。


こんな世の中で「産みたい」と思える人が増えるはずがない。


あなたはこの事件に関し、どのような意見を持ちましたか。



最後になりますが、この事件のお母さんは刑務所の中でやっと「眠れる生活」を取り戻したと思います。そうなると精神状態は回復へ向かうこととなります。そこでやっと、自分のしたことと向き合うことになると思いますが、わたしは真面目過ぎるこのお母さんが、罪の意識で再度精神を病んでしまうのではないかが心配です。

何も悪いことをしなくても刑務所に入れられ、がんばってきたことは何も報われず、子どもの成長を近く見守る自由もなくなった。


このお母さんの判決に執行猶予を付けるかどうかは賛否両論ですが、執行猶予を付けたとしても、まずはお母さんを休ませる時間を持つことが必要でした。今回は実刑判決ですので、刑務所の中で人間らしい心を取り戻すことになったお母さんですが、裁かれない人の言うことなど気にせず、図太く生きてほしいです。ああでもそんな図太い人ではなかったからこそ起きてしまった事件だったのだろうな……


今日はここまでです。

また明日。