こんにちは、かんどーです。
今日はこれからの音楽活動について書きます。
わたしの音楽活動は、2017年12月に親切な方からアコースティックギターをいただいたところからスタートしました。最初の1か月2か月は、人前でできるレベルでは当然なく。コードっていくつあるんだ? などと思いながら、とにかく「弾ける曲」を必死で弾いてきました。
2018年7月頃、やっと「バレーコード」というものをおさえられるようになり、これにより「頭の中に浮かんだ音の重なり」をギターで鳴らすことができるようになりました。たどたどしく作曲を始めたのがこの時期です。
それまで頭の中にはあったけど、形にできなかったものを曲に仕上げていく作業を続けました。運よく作詞をしてくださる方と出会えて、曲が完成していきました。
2018年10月、オリジナル曲が3曲できたところで、「どんな形でもいいから人前で演奏して歌ってみよう!」と決めました。そこで始めたのが「オープンマイク」という、ライブハウス主催のイベントで歌うこと。これはライブではないので、集客ノルマもないし、一人で行って歌いたい曲を紙に書いて、あとは順番で回ってきて歌うだけです。客席には他の参加者がいる感じになるので、一応「人前」でやっていることになりますし、すごく良い刺激になりました。しばらくオープンマイクで歌う活動は続けました。のべ7つのライブハウス、計15回くらいは参加したと思います。
ここで出会った方々に誘っていただいて、2019年2月15日に初のライブをすることができました。
つたない演奏であることをあらためて認識し、練習に力が入ったことをよく覚えています。そして2回目のライブもまた、オープンマイクで知り合った方からお誘いいただいての出演となりました。それが4月6日。
ここまで活動してみて思ったのは、「みんな自分なりのホームグラウンドを持っているのだな」ということと、「信頼できるライブハウスをちゃんと持っているんだな」ということでした。中には「師匠」がいるという方もいました。
そういう方は上達が早かったり、突き抜けた部分があったりしました。凄いな、と思う部分がいくつもありました。
……わたしは、たぶんこの先の人生で誰かを「師匠」と呼ぶことは無いと思います。残念ですが、わたしのこれまでの人生での経験から、もうそういうことはできない体質になってしまった。今日はそんな悲しいお話です。
わたしは15年前にクラブシンガーをしていたことがあり、そこのオーナーが、一応「師匠」というか、活動の拠点を提供してくれている人ということになるのだけれど、わたしがこの人と話した内容は常にお金のことでした。
お金の支払いにだらしない人だったのです。
わたしはそういう人がどうしても信用できないタチなので、その人の顔を見るたびにギャラの支払い日のことを彼に伝えていました。他のボーカルの人はそういうことを言わず、「もらえたらラッキー」のように考えていたようですが、わたしはほかのボーカルと採用に至る経路が違いました。
ほかのボーカルは、誰かの紹介とかそういうので採用されていました。わたしはフロムエーというアルバイト情報誌でそのお店の募集を見つけて面接してオーディション受けて入ったので、そもそも「お金がもらえるから」その場所に行っていたわけです。なのにお給料が遅れるのはおかしいと思ったのです。
その頃からわたしは徹底的に契約書を作るようになりました。
「甲は〇月×日までに、〇月分のギャラ総額4万5千円を乙に支払うものとする」
そんな内容の契約書を作っては持って行き(信じられないかも知れませんが事実です)、煙たがられながら捺印させ、とにかくお金を回収していました。いくつかクラブをかけもちした際も、ギャラのことでもめないよう、契約書は先方が用意するものだけでなく、わたしが用意した契約書に捺印することも求めるようになっていました。(そもそもギャラが遅れないなら、わたしの出す契約書への捺印なんて簡単なことだからです)
そして、わたしが今でも人を心から信用しない理由は、そのだらしないオーナーが、突然店をつぶしたことです。その日は奇しくも、わたしの両親が遠方から新幹線を使ってわたしのステージを見に来てくれる日でした。そんな日に。
「悪ぃ。店つぶれちまったから今日営業できねーわ」
こう言われたわけです。わたしは状況をすぐに理解し、
「事後処理がんばってくださいね、こちらもこちらの事後処理がありますのでこれで失礼しますが、先週分のギャラは必ず支払っていただきます。逃げても追いかけますからね」
と言ったところ、前週のギャラをその場で払ってくれました。向こうも面倒なことを避けたかったのでしょうね。他のボーカルには絶対払ってないと思います。
「つぶれる予定なら家族を呼んでいいとか言わない方がいいですよ、本来なら家族の新幹線代とホテル代請求するところなんですけど、ギャラ今払ってくれたんで、それはしないであげますから。それじゃ」
と言って店を後にしました。金貸しのような話しっぷりはこの人を相手にしていて身に付いたものです。「今その話より先にギャラの支払い日決めてくださいよ、オーナーさん」とか。
結局、わたしは家族に自分がステージで歌っている姿を人生で一度も見せることができませんでした。そしてわたしはこの日の事を「ごめん、クラブシンガーやってたっていうの、嘘。わたし虚言癖あるんだよね」で終わりにしています。
こんなオーナーの店でしか働けなかった自分が悪いのだから、責任はわたしがかぶろうと思ったわけです。
クラブシンガー時代に学んだことは、歌うことが楽しいとか、パフォーマンスの技術ではなく、ライブハウスからギャラを取り立てるための契約書作成能力でした。これは後に個人事業主になったとき、ものすごく活きたので良かったのですが。音楽を楽しんだか? と言われると「そんな暇なかった」です。
……そういう経緯がありまして。
わたしは音楽活動をするにあたり、常に持ち歩いているものがあります。譜面? マイク? いいえ。契約書です。
たまにあるのですが、いきなりアドバイスしてくれる人っているんですよ。親切でしてくれている方のアドバイスはありがとうと言ってしっかり聞きますが、人によっては話し終えた後で「こういうことを俺から習った、ってちゃんとこれから会う人に言うんだぞ」とか言う人がいました。これもクラブシンガー時代に出会った人ですが。
わたしはこれから先の音楽人生において、「〇〇の技術については〇〇さんから習いました」と一生言わなくてはいけないなんてまっぴらごめんだったので、その人に言いました。
「これ、いくら払えば教わったことチャラにしてくれます? 勝手に話して来たのはそちらですけど、聞いてしまったのでこの事実をチャラにしたいんだけど」
その人が何も言わなかったので5000円をたたきつけて「二度と会いたくないです」と言って帰りました。そしてその時も契約書を書きました。
「〇〇〇〇(以下、甲とする)はかんどー(以下、乙とする)に対し〇〇の技術を教えたのは5000円の対価をもらって行ったことであり、以降乙が演奏活動をするにあたり、〇〇の技術を使うにあたっては、乙が乙自身の修練を持って習得したものであると言える。本件について甲は周囲への他言そしてインターネット上でも一切乙について言及することはできない」
この文面を速攻で作り、その場で署名していただきました。ひどい話ですが本当です。今でもこの対応は良かったと思います。
こうやってわたしは、「自分で曲を作りました」「自分でギターを練習しました」「自分で作詞しました」というただそれだけの権利を必死で守りながら生きています。(ふつーにやらせてくれよw ふつーにw 今は変な人いないから大丈夫だけどさ)
時には、親切心で教えてくれる方にも契約書を書いていただかなければならないことがあります。後になって揉めたくないからです。
権利関係をしっかりしておけば、大抵のもめ事は起こらないのです。
話を現在に戻します。
わたしは2回ライブをすることができ、そのいずれも嫌な人が一人もいない空間でした。権利関係も何も揉めることがなかったので、きっと今はいい人と出会えているのだと思います。
15年前の活動で出会った人の質が悪すぎる、とたまに言われます。そうです、だから人との距離をめちゃくちゃに取り、常に一人で活動しているのだと思います。
でも、わたしはこれからも自分を守ります。
それは今わたしに関わってくれている方々への尊重であり、感謝であり、自分が応援する立場だったら、活動している人にはちゃんとしてほしいという気持ちから出てくる行動です。自分がちゃんとしていれば、上記のような変な人とは関わらずに済むのです。良い人、良いお店と出会える、そう思っています。
持ち歩いてはいるけれど、契約書も使わずに済んでいます。
もう誰にも搾取されずに活動がしたいです。
2回ライブに参加することができたので、次回は自分で会場を借りて主催をすると思います。主催ならばライブハウスと自分が直接打ち合わせできますし、ルールを明確にすることもわたしの裁量でやれます。
誰も不幸にならない空間を作ることが、わたしの仕事だと思っています。
いろんな人と関わって楽し気に活動している人を見ると「あー、いいなあ」と思うこともありますけど、深呼吸して考えると、わたしは一人でやっていこう、と思えます。一人で技術を磨いて曲を作って、発表して、録画したものを見て自分でフィードバックして、もっと良い演奏へと磨いていく。それを繰り返すことってめちゃくちゃ楽しいからです。
不惑の40代は、一人になっても楽しめるのです。
……とは言っても、完全にひとりっきりだったら寂しいかもしれないなぁ。ライブをやるよって言ったら来てくれる方がいたり、ちょっと感想を聞けたり、そういうのはやっぱりうれしいから。
ただ、15年前に音楽業界でわたしが見た搾取の構造は頭から消えることはありませんので、これからもわたしはしっかりきっちり地に足を付けて活動をすることになります。
「うまいねって言われたから〇月×日に〇〇っていうライブハウス出ることになった~★」とか騙されて、ギャラも出ない場所に出演することはまずありません。どういう仕組みで、どうやって集客して、わたしは何をするのが仕事なのかを明確にしてもらうまで「やります」とは言いません。
下手くそのくせに何言ってんだ! と怒るかもしれないですけど、わたし毎日練習してますから、ある日突然「へたくそ」じゃなくなるんですよ。ある日突然化けると自分で思ってるんです。だから、その時になって契約関係で揉めたりしないように、最初から自分で自分を守ってる。
たったそれだけのことです。
今アーティスト活動をしている方は、自分のもらうべきギャラはちゃんともらってください。スタジオ代、楽器代、練習時間、創作時間、すごい時間がかかっていると思います。それを「無料で」配布する必要はありません。ちゃんとお金もらって活動してください。
そうしないとみんな活動なんてやめてしまう。バイトを増やして新曲が出来なくなる。時間と曲を搾取される。
現場からは以上です。
それじゃあ、また明日!