こんにちは。仕事は接客業、趣味はランニングと読書の貫洞です。
※誤字脱字が多かったので修正したのと、ブログデザイン一新しました!
佐藤優さんの本を読みました。元外務省の方です。著書の随所に「外務省ネタ」がちりばめられており(アノ事件についてもリアルに言及されてます)、ナマの海外情勢も一緒に知ることができて、超お得な一冊です。
また、この本は、雑誌「BIG Tomorrow」での連載をまとめた本です。とっても読みやすい!
■佐藤優著 「ズルさ」のすすめ
■この本を読んで欲しい方はこんな人
・今やっている仕事を一生やるべきか迷っている
・仕事で頂点を目指せないことがとても怖い
・仕事との付き合い方がうまくできない
・疲れている
・生き方のロールモデルをたくさん知りたい
■本を読むのがおっくうな人にこそおすすめ!
本書はそもそもが雑誌の連載ですので、「1日1ページ読む」みたいな読み方でも前後のストーリーがわからなくなることがありません。スキマ時間に読んでもまったく苦になりません。(そのかわり、ぶっ通しで読んだ時に感じる達成感は薄いです。これは仕方ないです)
わたしは通勤時間の電車の中で、5日くらいかけてちょこちょこ読みました。小説と違って、細切れでも読みやすいなあーと感じました。一章読み終わるごとに意識が戻るので、熱中しすぎて電車を乗り過ごすことも防げます(笑)
ニュース番組を見るのが好きな人なら、ビジネス書と思わずに「政治ウラ話」を読んでると思って読み進めても面白いですよ!
■「ズルさ」とは?
ロシア語に「ヒートリー」という形容詞がある。(略)ロシア語と同じ系統のチェコ語で「ヒートリー」というと、「賢い」「すばしこい」「創意工夫に富んだ」という肯定的名意味だけになる。わたしが読者にすすめるのは、ロシア語やチェコ語で肯定的な意味を持つ「ズルさ」だ。残念ながら、日本語にはこれにぴったり該当する単語がない。
この本で言う「ズルさ」とは、佐藤優さんが諸外国との交渉、滞在を通じて肌で感じた「生き抜く力」みたいな、目に見えない力のことです。特に対ロシア外交で活躍していた佐藤優さんだからこそ知っている「うまく生きるコツ」を伝授してくれる本なのです。
以下、特に素晴らしいなと思った箇所を引用していきます。(青字が本書の引用で、その下にわたしなりの感想を手短に書いています)
■競争から降りられるドイツのシステム
たとえば、ドイツなどはキャリア選択で大きく二つのコースがあり、将来ゼネラリスト、管理職を目指すコースと、スペシャリスト、専門職を目指すコースに分かれています。
管理職コースを選ぶと、役員や経営者を目指して熾烈な競争に身を投じることになります。一方、専門職のコースを選ぶと、ビジネスパーソンとしての出世はありませんが、自分の専門技術や知識を生かした労働に専念する。1日の仕事は午後1時でほぼ終了。あとは家でのんびりガーデニングしたりして、家族とゆっくり過ごす。他人と比べたり競争したりするのとは無縁の環境です。
これ、素晴らしいと思いませんか? そもそも日本って、専門職の人をこき使って、絶対出世しないコースに乗っているのに、それを本人には隠して目一杯使うというか働かせるところがあるよね。それを考えたら、ドイツの「降りる」は優秀な仕組みだと思います。
日本の仕組みだと、中途半端に会社に縛られる人生が待ってます。希望がチラチラ見えるような見えないようなキツイ仕事でこき使われて、体や心を壊したら「申し訳無さそうに」休む。そんなのより、堂々と「わたしは専門職です」と13時退社したい。
ちなみに気になって調べてみたところ、ドイツでは小学校4年生の時に既に将来のキャリア選択を迫られるそうです。「大学に行って管理職コース」と「専門学校行って技術磨くコース」。ドイツの教育、キャリアシステムなんて全く知らなかったからすごく視野が広がりました。
■理屈一辺倒の人ほど仕事ができない
人間関係だけでなく、仕事ができる人は総じて理屈や論理でガチガチの人ではありません。ある部分では直観力で瞬時に判断し即行動に移すことができる、やわらかい思考の持ち主です。直感とは一気に結論に到達する思考ですから、当然論理的に検証して正解を出す作業より数十倍早い対応ができる。優秀な経営者や政治家などは、あまりに直感的でまわりがついていけないこともよくあります。
ただし、ここでいう直観力とはまったく根拠のない想像力とは違います。たくさんの経験値と論理的な思考を経たうえで、その蓄積によって途中の論理的な検証を飛び越え、一気に結論を導くことができる力です。
これ、接客業にあてはめるとわたしにも超簡単に理解できます。ある一定の経験値を積んだ後は、マニュアルをいちいち思い出さなくても大抵の応対が可能になります。佐藤優さんの場合は、政治の世界でもこの事例を見ているのですから、説得力がありますよね。
■人脈は仕事の中でつくるもの
特に若い人でキャリアアップに焦っている人が陥りがちなのが、異業種交流会などにやたら顔を出すこと。厳しい言い方ですが、異業種交流会に顔を出しているのは本業でイマイチの人物が多い。
本業で成果を上げている人は、そのようなところに顔を出す暇もなければ必要もありません。仕事の中で異業種の人と強固な人脈をつくっているのです。
見出しが5・7・5で気持ちいいですね(笑)日本の問題点もつぶさにクローズアップして教えてくれます。このあたりの章は、30代以降のビジネスパーソンなら「答え合わせ」的にさらっと読めば良いと思います。ひとつの話題は1~2ページで終わって次の話題へ移りますので、気になる章をじっくり読むのがオススメ。
■うつ病は心のインフルエンザ
うつ病は心の風邪と言われますが、実際は風邪どころではなくインフルエンザ。下手をすると死に至るのがインフルエンザですが、うつ病だって重くなったら自殺などに追い込まれてしまいます。
そうでなくても、一度かかるとちょっとしたことで再発します。完治には膨大な時間と労力がかかると思ってください。まさに、人生で最も時間をロスするのがうつ病のような精神に関わる病気。これはもう、かかってしまってからでは遅いのです。
すごくわかっていらっしゃるなあ…と思いました。 わたしはうつ病と診断されたことはないのですが、ADHDの二次障害による適応障害とか不安神経症だとかいろいろ診断されてます。ストレスで追い込まれて何も出来なくなったり人が集まる場所にいけなくなったりするので、うつ病に近いと思います。
一度症状が出てしまうと、しばらく仕事にならないので、本当に人生の時間をロスしていると感じます。結局、元気で生きることが最も効率が良いんですよね。
■上司にはゴマをするくらいでいい
(略)独りよがりの正義感で上司に正面からぶつかるなどというのは、一番愚かな人間のやることなのです。
組織とは個人の価値観や正義感を超えた論理で動くもの。そこで働いている以上、その論理にある程度は巻かれる覚悟が必要です。
そして、基本的に部下は上司を選べません。合わない上司の下についたら、なんとかうまくやっていけるように、最大限の知恵を絞るしかないのです。そのうち異動があり、上司も別な人物に代わるときがきます。
ですから、不用意な直言や失言などはもってのほか。ときには相手の気持ちをよくするようなゴマすりをする。サービス、ホスピタリティの一種だと考えるのです。それでお互いに仕事がしやすくなれば言うことはありません。
海外経験があるのに、日本の枠組みの中で上手に立ち回る方法をきちんと提示しているのが佐藤優さんの本のいいところ。この人の下で働いてみたいって思わせる人です。(ちょっと怖いですが)
■書ききれない!
書ききれないので超手短にまとめます。上記で引用したことのほかにも、何かしてもらったらお返ししなきゃ! と思う「返報性の理論」のことや、副業を持っていることが強みになることや、不条理なことを言われたときの対処法など、今だから言える外務省時代の実体験も交えて書いてあります。
ロシアでウォッカを飲み比べした話などは読んでいて痛快でした! あまり書きすぎてしまうと面白くなくなってしまうので、引用はこのへんで終わりにしておきます。
■佐藤優さんの著書は一貫性がある
わたしは以前「人に強くなる極意」という本を読了しています。この本でも佐藤優さんの意見は一貫していました。出るところは出て、引くところは引く。しっかり状況と相手を見て、必要ならハッタリかませ、みたいなことも書いてあって痛快。
■まとめと所感
「ズルさ」のすすめ、これはタイトルこそ「ズルさ」なんて書いてますけど、わたしの中では「佐藤優が教える人生の上手な生き方(日本編)」です。
多分、この本は「日本で生き抜く」「日本で会社勤めを快適にしたい」人に向けて書かれてると思うんですよ。だからあと一歩、あえて踏み込んでないんです。「そこはうまくやりましょう」と読者をなだめる方向になってる。
わたしは既に「日本で会社勤め」が無理でドロップアウトして起業したクチなので、「もうちょっとうまく勤めていればラクだったかな?」と思うところもありました。しかし、どんな立場の人が読んでも、この本にある「力の抜き方」「生き抜く力」は必要なことです。
季節は秋! 今日からもう9月ではないですか!
読書の秋ですよ。
読みましょ読みましょ!
それじゃあ、また明日!