先日、某SNSで、ある方の投稿にコメントをしました。
その投稿は「携帯ショップで、電池の受け取りだけなのに1時間も待たされた」という内容でした。
確かに電池の受け取りで1時間待ちはひどいなぁと思いました。理由は、純粋に電池パックのお渡しならば、裏へ行ってそれを取り、渡して終わりだからです。
ただ、それはたまたまそのショップに「手の空いているスタッフがいた」からです。発券機の横に人が立たなければならないほど混んでいるショップでは、手の空いているスタッフは基本いません。オペレーション通りに動いて、来客をさばいていかなくてはならないのです。
わたし自身、ある別のお店で勤務していたときは、発券機の横を10秒離れたら「ねえ、どこを押すの? ちょっと来て」と呼ばれるくらい忙しかったです。常に20人以上の待ちがいました。
そのお店の仕事を経験しているだけに、「電池パックを渡すだけで1時間待ち」の理由を肌で感じています。「渡すだけ」を待っている人が、既に前に10人とか、待っているんです。先に待っている10人を飛ばして今この人の電池だけ先に渡す…というのは出来ないのです。たとえ、とても急いでいることがわかっていたとしても。
だって「子どもがいるから早くして!」を優先したら、「仕事で次のアポまで15分しかないから早くして!」も対応しなければならなくなります。最終的に「言ったもん勝ち」になってしまうので、ルールを設けて順番を守っていただかなくてはならないのです。
スタッフ一人一人は理解しています。「この人急いでいるんだよなぁ」とか「この人妊婦さんだ、体が辛そうだから早くしてあげたいなぁ」と思っています。思っていてもできないこと自体も相当なストレスです。
さて、待ち時間。待ち時間には負の連鎖を生み出す作用があります。
さんざん待って自分の番号が呼ばれたとき。カウンターで電池を受け取り、そのまま帰るのではなく「待たされたのだからあれも聞こう」「ちょっとここだけ教えて」とカウンターで20分程度話をしてから帰る方が多いのです。
これ自体は悪いことではありません。気持ちはよくわかります。しかし、これによって待ち時間が長くなっていることは間違いありません。そして、発券機に立っているスタッフはそういう一因があることも見越して、待ち時間を読みます。
「20分で渡せます」と言っておいて1時間かかったらクレームになるからです。これも過去に「20分って言っただろ! 20分すぎたぞ!」と怒鳴るお客が何人もいたからそうなってしまったのです。
また、その書き込みにはとても悲しいコメントが付いていました。
「そんなことを言われたらすぐに店長を呼べと言う」
というものでした。気持ちはわかります。わかりますが、そのお店の店長を呼んでも、おそらく店長はそのお客さんにだけ早く電池を渡すことはしないでしょう。そんなことをしたらみんなが「女将を呼べ!」と海原雄山みたいに言えば早く手続きしてもらえる論理になってしまいます。。
そもそも、電池パックの受け渡しのお客に対し、「他の質問は受けられませんよ!」とつっぱねていいスタイルで営業していたら、電池パックのお渡しの待ち時間は常に短時間で回せます。でも、そうならないのは理由があるのです。日本のサービス業が、お客の要望に応えるものだという根本的な思想。そして思い通りにならないと声を荒げてもいいという一部のお客。ぜんぶ対応して初めて携帯ショップなんです。
だから、携帯ショップは、慢性的な人手不足です。
お客の立場に立つと「ルール、決まりばっかりあって面倒くさい」という意見があるのも理解しています。しかし、丁寧な応対を義務付けられている以上、人の手が空きにくい状態が生まれてしまうのです。その結果が「電池パックが渡せない」状態です。
わたしはそんな負の連鎖を自分の周りだけでも止めたい。
だから、勤務しているときは「本当に受け渡しだけで、サッと帰る人なのか」を自分の言葉で聞きだして(なんて聞いているのかはナイショ)、渡すだけの人は1分でお帰りいただけるようにしています。しかし、それができないお店もあります。自分が動いたらすべての流れが止まる、ここから動けない。1分で終わるお客さんにも番号札を引いて待ってもらわなければどうにもならない、という状態です。
サービス大国、日本。
「あなたは電池を受け取りに来たのよね? 今日はそれ以外の用件は聞けないわ。次の人に電池を渡さないといけないの。他の用があるならまた明日来たらいいと思うわ」
とぶった切るわけにいきません。これはわかってほしいと思います。
最近では様々なものが自宅に届くようなシステムも多くなっていますし、あまりそういう事態は起こらなくなっていると思います。料金支払いも、待つのが嫌いな方はコンビニでも払えますし。(コンビニの料金収納システムにはいつも助けられています)
携帯ショップでいやな思いをした…という書き込みを見るたびに悲しくなる、という話でした。
これから業界も大きく変わると思いますが、何が問題なのかを考えることだけはやめないでいたいです。
それじゃあ、また明日!
文:貫洞沙織
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