こんにちは、かんどーです。
篠田節子さんの長編小説「神鳥(イビス)」を読みました。
ニッポニア・ニッポン、朱鷺(トキ)が出てくるお話です。朱鷺はわたしが子どものころは、まだ日本のどこかでひっそりと生きている鳥でした。でも今は絶滅寸前。その姿を見ることは生涯ないかもしれません。
別に、朱鷺を見なくてもいいや…
この本を読むまで、わたしはそう思っていました。鳥を見なくてもいいじゃない。ほかに見るものあるしってね。でも。篠田節子さんの大作は、わたしの心に朱鷺という鳥の業や種としての強さと弱さ、そして過ぎ行く時代を感じさせてくれました。
今、わたしは朱鷺の姿が見たくて仕方がない。こんなに人の心の興味喚起をしてくれる、本って素晴らしい。
篠田節子著 神鳥(イビス)
いやー、最初はちょっと読みにくかったんだけど、途中からぐいぐい引きこまれていきました。わたし、小説とはいえ、宇宙にワープとか過去にワープとか、そういうの好きじゃないんです。映画もそうで、そういう要素があるとすぐに見るのをやめたり、読むのをやめてしまう。変なとこリアリストなんですよ。
だけど、この作品でそういう場面が出てきても、仔細に描写された登場人物の魅力とぐいぐい引っ張っていく物語の力によって、最後まで一気に読みました。
登場人物は、バイオレンス小説を書く男性の小説家と、その表紙を描くことになったイラストレーターの女性。この女性が主人公。物語のキーワードは「朱鷺の絵」。
ふたりは最初全然仲良くないのだけど、朱鷺の絵について調べていくうちに、お互いの価値観をまっすぐにぶつけあってかかわりあっていきます。そして、朱鷺の絵を描いた昔の女流画家に隠された秘密…。
不思議なお話です。
だけど不思議と、あー仕事がんばろ! みたいな気分にさせてくれる小説でした。篠田節子さんのお話は、女性同士のかかわりだったり、おかれている状況が面白かったりするのだけれど、何を書いても引きこむなあ…と感嘆してしまいました。
今でもまだ、からだのなかに朱鷺の感じが残っているし、あのふたりがてくてく歩いてる。小説の醍醐味ってこれだよね。
関係ないけど、「不機嫌な果実」は小説でずいぶん前に呼んだんだけど、ドラマ化されたのをちょこっと見て、映像化ってすげえなと思いました。独特の色が出る。小説を原作にした映画やドラマが大好きです。
斉藤和義も大好きです。
また本の話も書きますね。
それじゃあ、また!