最近観た映画のなかでダントツによかったです。
こちら。
ネタバレなしで感想を書きますね。
とは言え、完全に内容に触れないことはできませんので(序盤の内容や物語の世界観などは語ります)、ネタバレが嫌なかたは、ぜひこのままブラウザバックして、映画を観てほしいです!!
改行
改行
感想書きますね!
前提
まず前提として、この映画はノルウェーが舞台です。ノルウェーという国で、ノルウェー人の俳優さんが演じている作品です。
それだけに、社会背景や経済状況も現在のノルウェーが基準となってつくられています。というか、そうでなければ設定が破綻します。
参考までに。ノルウェーは世界で2番目に平均給料が高いです。平均で1000万くらいもらっています。アルバイトの最低時給は1500円。もちろん物価も高いし税金も高いそうですが、それにしても日本よりはずっと豊かでしょう。
映画の感想
ヒロイン・ユリヤやその周りの人々は、定職についていたり、いなかったりします。そう、30歳くらいまでアルバイトをして「自分探し」のモラトリアムにとどまることが可能なのです。
そんなユリヤのモラトリアムとその周囲の人間模様を描いていく映画です。
ユリヤはことごとく「人間らしい」ムーブを繰り返し、その愚かさに自虐的な気持ちになっていきます。世間一般的な価値観で自分を計られることを嫌い、それをされると理論的に反論します。
まあ、世間一般の価値観を押し付けてくる人に議論をふっかけたところで、そういう人がいる場所はそういうコミュニティであるため、ユリヤの議論は空中を舞うことが非常に多い。。
観ていて苦しくなる場面が多いです。
過去の自分に重ねる人も多いのではないでしょうか。
モラトリアムの中にいる人が観れば、また違う感想になるかもしれません。
とにかく、思考が追い付かないくらい、脳の大切なところに刺激を与えてくれる映画なのです。
そして、この映画の中でユリヤは「女性というもののあり方」に定義づけされることを徹頭徹尾、嫌います。
その頑なな姿勢こそがユリヤであり、ユリヤのアイデンティティなのですが。
この映画に対してノルウェーは予算をつけてくれましたが、日本では予算がつかない、と思いました。そのことを考えると、気持ちのどこかがすぅっと冷めていくのを感じました。
表現の自由、という言葉があるけれど、そもそもスポンサーがつかないせいで世の中に出ない物語が無数にあると思います。日本の映画でこれはできないでしょうね。
ユリヤは宣材ポスターの中で自由に走っていますが、この「女性が自由に走る」ことさえできていないのが日本なのだと思うと悲しくなります。北欧はジェンダー問題がとても進んでおり、家族になったら男女問わず家事を同じくらいするのが当たり前になっています。
約束事として責任者や議員なども男女同数にするように決められています。
そんな進んだ国が作った映画だったから、私は作品の途中で、ユリヤへの共感と同時に、物語全体に対する反骨心を持たねばならず、脳内はパニック状態になるレベルで思考が並行して進んでいきました。
頭が、忙しかったです。
映画としては最高に面白かったので、パンフレット購入。
名場面の写真が素敵に載っていたり、俳優さんのプロフィールがわかったり、おもしろいです。ノルウェーの映画ってほかにないのかな。もっと観ようと思います。
スウェーデン語を勉強していたことがあったため、少しわかる言葉がありました。もう少し勉強したら聴きとれるようになるかな。もっとわかりたい。
とにかく、最高。(タイトルは「最悪」ですけど)
まだ新しい映画ですので、近くの劇場でやっていたらぜひ観てみてください。
モラトリアム期でない方であっても楽しめると思います!!